ハイパーカミオカンデ中間検出器立坑の見学会を開催しました

KEKは4月2日、素粒子ニュートリノの素性に迫る国際共同実験「ハイパーカミオカンデ計画」で使う重要な装置の一つである「中間検出器(Intermediate Water Cherenkov Detector: IWCD)」が設置される立坑の報道機関向け見学会を茨城県東海村で開催しました。

4月2日の見学会の様子。左側に見えるのが構造体

IWCDは、KEKが日本原子力研究開発機構と共同運営している大強度陽子加速器施設(J-PARC)でつくった人工のニュートリノビームを、発生地点から約1km離れたところで観測する装置です。295km離れた岐阜県飛騨市神岡町で建設中のハイパーカミオカンデ検出器と同じ原理で動作させることで「系統誤差」を減らし、実験精度の大幅な向上を目指すものです。

立坑はIWCDが設置される深さ約50m、直径約10mの円筒状の空洞です。完成後は水で満たされ、水位を調節することでやはり巨大な水槽であるIWCDを上下に移動させて観測を行い、ハイパーカミオカンデ検出器での観測と比較することで宇宙進化の謎に迫る仕組みです。周辺環境への影響や経済性に優れる「圧入式オープンケーソン工法」で掘削されます。

この日の見学会は、向け、立坑の先端部分に当たる「刃口」および、地下に順次埋め込んで立坑の壁となる構造物(躯体)の最初の一つが完成したことで行われました。

参加した報道関係者ら18人は、KEK素粒子原子核研究所の中平武教授と、施工する株式会社森組の水野祥司工事所長兼監理技術者から、実験の概要や工事の現況について説明を受け、そのあと現地を見学しました。

コンクリート製の構造体の高さは4.5m、外径は13.6m、厚さは1.6mで重さは500tです。これを現地でつくり、刃先で掘削しながら、圧入装置で押して沈めていきます。構造体は11段あります。

掘削は見学会の翌4月3日に始まり、4月8日には見学時に見えた第1段の沈設が完了しました。

最初の構造体の沈設が終わったところ(森組提供、4月8日撮影)

KEKは東京大学宇宙線研究所とともにハイパーカミオカンデ計画のホスト機関を務めており、2028年度の観測開始を目指しています。KEKではメインリング(MR)と呼ばれる加速器やニュートリノビームラインの増強とともに、今回の中間検出器建設の準備を進めてきました。

MRでは今年1月、より高い感度の実験を行うために重要な指標である「ビームパワー」で900kW(キロワット)の安定した利用運転を達成し、1300kWを目指して増強を続けています。

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