研究したい

KEKは大学共同利用機関法人として、国内外の研究者に共同利用の場を提供し、加速器科学の最先端の研究や、関連分野の研究を発展させています。また、電気、放射線、機械、計測器、コンピュータ、材料などの分野においても、産業界との共同開発を進めています。

旅費支給制度、宿泊施設、ユーザー支援を円滑に行うためのユーザーズオフィスの設置などの支援プログラムを用意しています。

成果非公開で実験施設を有償利用することも可能です。

こんな装置が使えます(物質・生命分野)

量子ビーム

物質・生命の構造と機能を解明するプローブとして、放射光・中性子・ミュオン・低速陽電子のビームを使うことができます。

放射光

加速器から発生する幅広いエネルギー(波長)をもつ高輝度の光です。短波長の紫外線やX線を使うと物質を構成する原子の並びや電子の振る舞いを調べることができます。

中性子・ミュオン(J-PARC MLF)

物質・生命科学実験施設(MLF)は、世界最高クラスの大強度パルス中性子・ミュオン実験施設です。

低速陽電子

陽電子は、電気的性質から物質表面近くに侵入する深さを自由に変えることができるため、最表面に対する感度が非常に高く、最表面やそのすぐ下の原子配置を精度よく決めることができます。

クライオ電子顕微鏡

クライオ電顕実験棟を建設し、2台のクライオ電子顕微鏡を設置しました。クライオ電顕のほか試料準備室や大腸菌培養室、分析機器室などの設備があります。

産業利用

ものづくりにおいて、材料評価や特性発現メカニズムの解明は必須なものとなっています。放射光実験施設(PF)およびJ-PARCの物質・生命科学実験施設(MLF)で培われてきた材料評価・解析技術を活用いただき、多くの製品創出、品質向上につながっています。

こんな研究ができます(素粒子・原子核分野)

Belle II実験

SuperKEKB加速器で生成した粒子が崩壊する様子を詳細に調べ、宇宙初期に起こったはずの極めて稀な現象による影響を明らかにし、未知の粒子や力の性質を理解します。それにより新しい物理法則の解明を目指し、宇宙から反物質が消えた謎や暗黒物質の正体に迫ります。

ATLAS実験

高エネルギー加速器で誕生直後の宇宙を支配していた素粒子とその現象を創り出し、直接観測するのがエネルギーフロンティア実験です。現在は、スイス・ジュネーブ近郊にあるCERNのLHC/ATLAS国際共同実験を進め、LHC実験が発見したヒッグス粒子の性質の徹底解明と未知粒子の発見を目指しています。

T2K実験

J-PARCで作ったニュートリノビームを295km離れたスーパーカミオカンデで観測し「ニュートリノ振動」の性質を詳しく調べるのが長基線ニュートリノ振動実験(T2K実験)です。T2K実験は2013年、ミューニュートリノが電子ニュートリノに変化した決定的な証拠を得ることに世界で初めて成功しました。2014年以降は反ニュートリノビームを用いて研究し、宇宙創成の謎の解明を進めています。

ハドロン実験

J-PARCにあるハドロン実験施設では、物質を構成する究極の要素が何であるか、どのような力がそれらを結びつけているかといった、物質の成り立ちを極微のスケールで研究します。陽子・中性子以外の粒子を含む、通常にはない原子核を生成し、原子核をまとめている核力の研究をするほか、原子核素粒子物理学の多様な実験を行っています。

実験的宇宙物理研究(CMB)

この宇宙は、138億年前に熱いビッグバン以前の急速な膨張「インフレーション」から始まったと考えられています。この決定的な証拠を探るために宇宙最古の光である宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の観測が行われています。CMBの中に特殊な偏光モード(Bモード偏光)が刻まれている事を観測できれば、それがインフレーションの証拠となり、科学史において最大級の発見となるのです。CMBグループでは、CMBのBモード偏光観測達成を目指し研究を行っています。

ミューオン・中性子

量子力学には、不確定性の条件のもとで、さまざまな素粒子が一時的に現れて消える「量子ループ効果」があります。量子ループに現れる素粒子や相互作用には、標準理論に含まれない未知の物理法則も含みます。この効果は異常磁気能率(g-2)や電気双極子能率(EDM)に直接現れます。ミューオン・中性子グループでは、これらを精密に測定することにより標準理論を超える未知の物理法則に迫る研究を行っています。

測定器開発テストビームライン

KEKつくばキャンパスPF-ARに建設された、測定器試験のためのテストビームラインです。2023年度から大学共同利用運転を開始しました。

元素選択型質量分離器 KISS

埼玉県和光市の理化学研究所内にある、和光原子核科学センターでは、KEKが開発した国際的にユニークな原子核実験装置KISSを使って自然には安定に存在しない短寿命な原子核を人工的に作り出し、共同利用実験に供しています。KISSは、とりわけ金・白金やウランの起源となる短寿命の原子核の生成に適した装置です。新たに開発された多重反射型飛行時間測定式質量分光器 (MRTOF) を使って、元素の起源の解明を目指しています。

最終更新日 2024/04/09