KEKウィンター・サイエンスキャンプ2023参加者より

KEKウィンター・サイエンスキャンプ2023「Aコース:素粒子を見てみよう」に参加した、中尾ティファニー蘭さん(田園調布雙葉高等学校2年)から、10月に欧州合同原子核研究機関(CERN) に滞在して参加した高校生向けキャンプ「CERN-Solvay student camps」のレポートが届きましたので紹介します。

中尾さんは「来年応募する人たちの参考になれば幸いです。今年のKEKウィンター・サイエンスキャンプが無事に開催できることを陰ながら祈っています」とのコメントを送ってくれました。

KEKウィンター・サイエンスキャンプ2023に参加した中尾ティファニー蘭です。
私は「素粒子を見てみよう」のグループでミュー粒子の速度と角度分布の測定をしました。キャンプでは素粒子研究をリアルに体験することができ、この先自分が何をしたいのかを考えるきっかけになりました。

あれから約一年。私はスイスのジュネーブにあるCERN に、CERN-Solvay student campの一員として訪れました。このキャンプでは世界中から集まった30人の仲間たちと一週間、CERNで施設の見学や実験をしたり、研究者からの講義を受けたりします 。

キャンプ中は毎日早朝に目が覚め、ひんやりとした空気の中朝日を鑑賞するというルーティンが出来上がりました。美しい景色の奥にはモンブランがそびえ立っており、その圧倒的存在感に引きつけられるばかりでした。

朝の景色。奥に見える白く連なった山がモンブランです

2日目の見学では有名なATLAS検出器の壁画を目にすることができ、今まではあまり感じられなかったCERNに来たという実感がそこで初めて湧きました。検出器はすでに稼働しており近づくことができなかったので、いつかまた機会があれば実際に見てみたいです。

ATLAS実験室の建物。検出器の絵がカラフルに描かれています

5日目はCLEAR、ELISA、Polymer Lab、Robotics Lab、Cyro Lab、Theory workshop の六つの班に分かれ、それぞれでプロジェクトを行いました。Robotics Lab ではロボットを一から設計し、組み立て、プログラムしました。タイヤの速度が左右で違うなどロボットが思うように動かずプログラムを書き直しては動かしてみる、の繰り返しでした。完成するまでにたくさんの苦労はありましたが、指示した通りにロボットが動いてくれた時はとても嬉しかったです。

グループによるワークショップ風景。クルックス管を使った電子ビームの実験をしています

また、LHCを点検するために用いられているロボットの見学もしました。
地下100メートルにあるトンネル内に設置されたロボットの操作は想像以上に困難で、技術面だけではなく創造力を使って問題解決することの大切さを学ぶことができました。各グループの活動の様子を私たちで動画にまとめたので、CERNの公式SNSアカウントなどで見ていただけると嬉しいです。

トンネルの天井に設置されているロボット。LHCの修繕に使われます

短い期間ではありましたが、物理が大好きな仲間たちと過ごした日々は私にとって本当にかけがえのない思い出になりました。そしてそれは一年前に参加したKEKウィンター・サイエンスキャンプも同じです。少しでも興味がある方はぜひ応募してみてください!

CERN-Solvay student campsについて興味を持たれた方は、下記のURLをご確認ください。

https://solvay-education-programme.web.cern.ch/student-camps

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