2月に開催した技術部門の専門研修「第二種電気工事士になろう研修」の続きとして、実習編を6月~7月に開催しました。電気工事士は第一種電気工事士と第二種電気工事士に分けられており、そのいずれの資格も取得するためには学科試験と技能試験の両方に合格する必要があります。2月に行われた「第二種電気工事士になろう研修」は、希望者多数により抽選で選ばれた5人の技術職員が受講し、全員が学科試験に合格しました。今回の実習編は、学科試験を通過した受講生を対象に技能試験の対策をするための研修です。技能試験は13の課題があり、その中から指定された課題の工作物を制限時間内に課された水準を超える品質で完成させることが求められています。
KEKでは加速器科学を推進する実験のため電気設備が設置・運用されており、それらの電気設備に対して、KEKの技術職員自らが電気工事を行ったり、業者に委託したりしています。電気工事や電気設備の運用には数多くの危険因子が含まれており、自らが電気工事を行わなくとも専門的な知識と技能が求められることがあります。このような環境で業務を行うことや、電気に関する災害の発生防止に寄与する観点からも電気工事士の資格取得は望ましいことです。機構内にある膨大な種類と数量の電気設備で、電気工事士の知識・技能が必要とされる電気工事が日々多数行われています。そのために今よりさらに多くの電気工事士の有資格者が必要とされています。
研修日程
- 6月18日:14:00~17:00
- 6月19日:14:00~17:00
- 6月20日:14:00~17:00
- 7月 4日:10:00~12:00
- 7月 5日:10:00~12:00
- 7月11日:14:00~17:00
- 7月18日:10:00~12:00
- 7月19日:10:00~12:00
講師
植田 猛 技師(加速器研究施設 加速器第四研究系)
長橋 進也 先任技師(加速器研究施設 加速器第六研究系)
研修の様子
はじめに、学科試験対策で学んだ内容を確認しつつ、単線図を実際の製作に必要な複線図への書き換えや、工具の使い方、電線加工方法など、製作における要点や注意点などの説明がなされました。
説明を聞いた後、各受講生は本番の試験にあわせて課題に挑戦しました。
事前の丁寧な指導により、作業時間が所定の40分よりかかってしまいましたが、完成した工作物はなかなかの出来栄えでした。それぞれの受講生の製作した工作物を講師の指導のもとに受講生同士で批評しあい、このことにより自分の問題点や苦手なことが洗い出され、その後繰り返し製作をしていくうちに各人の技能の向上が見られました。
業務の都合ですべての研修に参加できたのは1人でしたが、数回の実習でかなり上達しました。研修終了時には、ほとんどの受講生が試験時間の半分強の時間で上々の工作物を製作できるようになりました。その結果として全員が技能試験に合格し、無事第二種電気工事士の資格を取得しました。
受講生は実験室内で配線を頼まれることもあり、電気工事士の資格の必要性を実感していたことがアンケ―トの結果から読み取れました。本研修について「わかりやすい資料や実習で技術の取得が容易であった」、「研修日の選択が多く助かった」などの声が聞かれました。また「機会があれば上位の資格の研修を受けたい」、「これからたくさん実践をつみたい」と、さらなる活動への意欲もみられました。