KEK春のキャンパス公開2024に474人が来場

見て、聴いて、動かしたホンモノ体験

毎年、発明の日(4月18日)を含む1週間は科学技術週間といい、この期間には、全国の各機関で科学技術に関するイベントなどが実施されています。 

高エネルギー加速器研究機構(KEK)でも、4月20日(土)につくばキャンパスの公開を行いました。当日は晴天に恵まれ、474人の見学者が訪れました。 

キャンパス公開では、実験施設見学ツアーや研究者と対話できるサイエンスカフェ、超伝導コースターの実演など、来場者が実際に見て、聴いて、動かすことができる企画でKEKの研究を体感してもらいました。当日の様子をご紹介します。 

施設見学バスツアー

見学ツアーでは2台のシャトルバスを運行しました。感染症対策のため乗車制限を行った昨年度とは異なり、今年は希望者全員がツアーに参加することができました。 

今回公開した施設は、宇宙初期に起こった現象を再現して未知の粒子や力の性質を明らかにするBelle II測定器と、加速器から発生する明るく波長の短い「放射光」で物質を原子のスケールで観察するフォトンファクトリー(PF)の2カ所です。参加者からは「初めて中に入りました。こんなにすごい場所だったとは!」「BelleⅡ大きいですね」などの声がありました。 

サイエンスカフェ「博士の履歴書」

お茶やコーヒーを片手に気軽に研究者の話を聞けるトークイベント「サイエンスカフェ」 

は今年も大盛況で、多くの来場者が参加しました。今回は博士の履歴書をテーマとして、4名の研究者が自身の研究やこれまでの経験について話をしました。 

1杯目 10:30~11:30
宇宙から消えた反粒子の謎を解き明かしたい

素粒子原子核研究所
松原 綱之(まつばら つなゆき)さん、中村 克朗(なかむら かつろう)さん 

宇宙から反物質が消えた謎に迫るBelle II実験、T2K実験という二つのアプローチについて話がありました。どちらが早く反物質の謎を解明できるか?という質問には「それは自然が決める。自然に謙虚に研究していきたい」と語りました。また、自身が研究者になった理由についても「もっと研究したいを繰り返して今もそれを続けている」(松原さん)、「相対性理論の面白さに引かれてこの道に進んだ」(中村さん)とそれぞれ振り返りました。 

2杯目 13:00~14:00
集積回路で描く魔法陣

量子場計測システム国際拠点
宮原 正也(みやはら まさや)さん

QUPが開発する”眼”(センサー)からの電気信号をすばやく測るシステム の構築について説明、2ミリメートルほどの大きさの中に細かく模様のようにトランジスタが並んだ半導体は、魔法陣のようだと話しました。また、高専→民間企業→高専(復学)→大学院を経て研究者になったという宮原さんのユニークな経歴の紹介もありました。 

3杯目 14:45~15:45
なせばなる、でなんとかなる!

物質構造科学研究所
大東 琢治(おおひがし たくじ)さん

はやぶさ2が持ち帰った石の分析をした経験から、フォトンファクトリーの軟X線顕微鏡の開発をしているという大東さん。将来の夢がたくさんあったそうで、カフェでは将来の夢のその後がどうなったのか紹介しました。また、その夢の一つ「音楽」は今の仕事にもつながっているという話もありました。 

超伝導コースター

液体窒素で冷やした超伝導体が、磁石のレールを滑走する「超伝導コースター」の実演も行われました。特に家族連れの方などに好評で、多くの子供たちが自分でコースターを動かしていました。 

ゲームラリー「素粒子をさがそう」

会場内に隠された17種類の素粒子のぬいぐるみを探すゲームです。ワークシートに素粒子の名前と得意技を書いてゴールします。ちびっ子から大人まで多くの方が参加しました。 

常設展示・企画展示

コミュニケーションプラザの常設展示や企画展示「小林・益川理論50周年」も通常通り公開しました。

 

グッズ販売・キッチンカー・珈琲販売

KEKオリジナルグッズの販売やキッチンカーの営業もありました。 

今回のキャンパス公開を通して、多くの方に科学技術に触れていただくことができました。

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