欧州合同原子核研究機関(CERN)とKEKは、共同研究や両組織の協力関係について議論する「CERN-KEK委員会」を12月7日(木)にKEKつくばキャンパスで開催しました。本委員会は、毎年CERNとKEKで交互に開催されているもので、今回で18回目の開催となります。CERNからは6名(うち2名はオンライン参加)、KEKからは8名(うち2名がオンライン参加)が出席しました。COVID-19の影響を受けて2020年と21年はテレビ会議での開催としたため、KEKにおいて対面で実施するのは4年ぶりとなりました。
KEKとCERNの組織としての協力は、CERNで行われている大型ハドロン衝突型加速器(LHC)プロジェクトへの日本の参加が始まった1994年に始まり、その後、LHCの電磁石製造やATLAS実験への参画を通して、両機関は深い信頼関係を築いてきました。現在は、LHC加速器高輝度化計画(HL-LHC)、KEKのSuperKEKBにおける多国籍参画プロジェクト傘下での研究、次世代の直線衝突型加速器などのさまざまなプロジェクトにおいて、CERNとの共同研究開発を推進しています。また、これらの共同研究開発での共通の課題を追求し、両機関の連携を一層強化するため、2014年からはそれぞれに分室を設置しています。
本委員会では、LHCでの国際共同実験であるATLAS実験の進捗状況やアップグレード、HL-LHCへの建設協力としてのビーム分離のための単一開口の超伝導偏向磁石(D1)などの進捗状況、リニアコライダーの協力状況、J-PARCでのニュートリノ実験での協力計画などについてグループを代表する研究者らが発表しました。
委員会の開催に先立ち、機構長より、日本と欧州の協力の歴史を振り返るとともに、これまでの長い協力関係が現在の良好な関係の礎となっており、今後もさらなる協力がもたらす成果に期待しているとのあいさつがありました。
HL-LHCへの建設協力として、D1の現物を提供することになっており、委員会のメンバーは実際の製作現場となる日立製作所臨海工場を見学しました。工場では実際の超伝導コイルや組み立て中の磁石を見学し、技術者の方々から設計や製造に関する説明を受けました。
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