『技術の専門家集団』学生の皆さんと交流 ー 研究系技術職員インターンシップ・オンサイト仕事体験

キャンパス体験初日。さぁこれからはじめよう!

技術職員インターンシップは、今年で7年目を迎え、毎回多くの学生から好評を頂いています。今夏は、東北から九州までの広範な地域から学生が参加しました。昨年同様、Web開催とオンサイト開催の二つのパートに分けて実施しました。

Web開催は8月17日(木)に行われ、午前中にオリエンテーション、午後に3件のWeb仕事体験を行いました。(こちらは、8月25日掲載のKEK Topicsで紹介しました。https://www.kek.jp/ja/topics/202308251100/

オンサイト仕事体験は9月4日(月)から9月8日(金)までの5日間おこなわれました。つくばキャンパスに13名、東海キャンパスに10名(一部はつくばキャンパス参加者を含む)が参加しました。参加者は実際の技術職員の職場で16種類のコースから、事前に複数選択してプログラムを体験しました。つくば・東海キャンパスのいずれかだけの選択や、都合の悪い日は除くなども可能です。

日程スケジュールといくつかのコース体験実習の様子を紹介します。

2023年度 夏季インターンシップ日程表

コース体験実習の様子

コース4A 「素粒子原子核実験を支える極低温技術と検出器設計 & 素粒子原子核実験の世界へ!」

全長3キロメートルのSuperKEKB加速器の電子と陽電子の衝突点のある筑波実験室で巨大なBelle測定器とその低温施設を見学し、エレクトロニクスシステムグループでの実習を行いました。実習では小型パソコンRaspberry Pi(ラズパイ)のWi-Fi機能を使ってスマートフォンからLEDを点滅させるなどを行いました。

エレクトロニクスシステムグループでのラズパイのWi-Fi機能の実習風景

コース4B「電子線形加速器を知る見る学ぶ -複雑なビームラインと機器の構成術」

つくばキャンパス電子陽電子入射器棟で実施しました。午前は、トンネルでの線形加速器の見学、地上階の高周波パワーソースの見学や線形加速器の構成装置の実機カットモデルなどを使っての加速器の詳しい説明がありました。午後は回路モジュールの組み立て配線作業とプログラム作成などの加速器制御技術の体験実習を行いました。

電子・陽電子入射器棟制御室の見学と機器制御の実習風景

コース6J「加速器内部の超高真空を測る技術 -大気圧の10兆分の1の圧力を正しく測ろう」

加速器と切っても切り離せない超高真空技術に焦点を当てました。加速器は、良好な超高真空を実現し常に正確な状況を把握しておくことが大切です。実習では、真空計の動作原理や特徴を学び、較正方法を体験していただきました。写真は真空計を確認しながらガス導入している様子です。

真空計の較正試験とフォトンファクトリー(PF)加速器の見学

コース7L「中性子実験に関連する技術 -中性子システムを使ったデータ収集、解析と評価まで」

東海キャンパスのJ-PARC物質・生命科学実験施設(MLF)の中性子実験で実際に使用されている中性子検出器を動作させました。そのあと、その出力特性がシミュレーション実習で予想した通りであることを体験しました。

実験で実際に使用されている中性子検出器の体験風景

コース7Q「最強の陽子ビーム開発の最前線-ビーム軌道シミュレーションとビームから見たインピーダンスの測定」

東海の大強度陽子加速器J-PARCメインリングで開催されました。近々メインリングに設置予定のビーム診断装置で、ネットワークアナライザーを使ったインピーダンス測定行いました。さらに装置に電磁波吸収体であるフェライトを取り付けて、インピーダンスを低減させる実験をしていただきました。学生たちはメインリングの大きな加速器の装置群に、驚きの声を上げていました。

実験装置に不要な電磁波吸収のためのフェライトを挿入しての特性試験

オンサイト仕事体験では、ご紹介したように大きな装置群と最先端の実験現場で技術職員と一緒に手を動かし、教科書では学べない体験となったと思います。アンケート結果では、「先端科学の現場で貢献してみたい!」「環境が魅力的だった!」という回答が特に多くみられました。「Web体験と違って実際にどのような技術職員がいて、どのようなマインドで仕事をしているかがわかった!」「仕事にはモノ作りの要素が大きく、スキルだけでなくよく考えて形にしていくことが大事である!」「作った装置をうまく運用する技術が必要!」など、KEKのサイエンスを加速するための技術職員の仕事が伝わったようです。

懇親会風景

4日と6日の夜に開催した懇親会と食事会では、特に若い技術職員と直接話す機会があり、参加者は今後の就職活動に役立つ情報収集もできたようです。昨年、今年と参加人数の記録を更新しました。インターンシップの募集記事だけでなく、KEK広報のニュースやTopicsなどの情報を見て申し込む人が増えています。また、大学の先生や先輩からの紹介も増えています。こうしたKEK技術職員の仕事の魅力を広めた取り組みが、好評を博しているようです。今後も多くの学生の皆さんに、KEK技術職員の仕事の魅力を感じていただけるよう、取り組んでいきたいと思います。

2023年度 冬季インターンシップ(予定):

Webオリエンテーション・仕事体験 2024年2月15日
オンサイト仕事体験 2024年2月19日~22日(つくば19、20日、東海21、22日)

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