KEKの山田作衛(やまださくえ)名誉教授(81)が令和4年秋の叙勲で、素粒子物理学における長年の功績が評価され、瑞宝中綬章を受章しました。
素粒子物理学の研究において、山田名誉教授はかつて、小柴昌俊先生(東京大学特別栄誉教授)の主導したドイツ電子シンクロトロン研究所(DESY)における電子・陽電子衝突型加速器(DORIS、PETRA)を使った大型国際共同実験で、チャームクォークを含む新粒子の解明やグルーオンジェットの発見に携わり、その後、同じくDESYの電子・陽子衝突加速器(HERA)の国際共同実験(ZEUS)を日本グループの責任者として推進し、陽子の超微細構造の測定、電弱相互作用の統一の検証など多くの成果を上げ、その中で多くの後進を育成するなど、素粒子の標準模型の検証に大きな貢献をしました。
また初代KEK素粒子原子核研究所長として、陽子シンクロトロンやKEKBにおける国際的な共同利用実験などに尽力し、世界から高く評価される成果をあげる指導的な役割を果たしたほか、総合研究大学院大学の素粒子原子核専攻の創設に尽力するなど若手の育成にも力を入れました。
山田名誉教授は「私は大学院生当時以来、小柴先生から「我々は多くの人たちが働いて収めた税金で、好きな研究をやらせてもらっていることを忘れるな。1円たりとも無駄にするな」という教えを受け、研究者としての姿勢をたたき込まれました。その教えを肝に銘じて研究を楽しんで来たので、それで幸せでしたが、今回の叙勲は重ねてご褒美を頂くような気分です」と自身の研究者人生を振り返りつつ喜びを語りました。
東京都東久留米市のご自宅で電話取材に応じていただきました。
略歴
1969年、東京大学大学院理学系研究科博士課程を修了。同大学理学部助手、助教授を経て、86年に東京大学原子核研究所教授、95年同研究所所長に就任、97年の組織統合に伴い高エネルギー加速器研究機構素粒子原子核研究所の初代所長に就任。
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