東北大学多元物質科学研究所
東京工業大学
高輝度光科学研究センター
高エネルギー加速器研究機構
概要
次世代デバイス開発やエネルギー問題の解決のために、強誘電体・圧電体材料や負熱膨張材料の優れた新素材の開発が求められています。東北大学多元物質科学研究所 山本孟助教、木村宏之教授、戸田薫大学院生(理学研究科)らの研究グループは、特殊な電子状態に起因して極性構造を示すペロブスカイト型酸化物、バナジン酸鉛(PbVO3)とコバルト酸ビスマス(BiCoO3)の固溶体において、組成変化により、巨大な体積変化を伴う常誘電相への結晶構造変化が起こることを発見しました。また、誘電体特性の1つである自発電気分極の制御にも成功しました。これらの変化の起源は、バナジウムイオンとコバルトイオンの間の電子の授受(金属間電荷移動)によるものであることを明らかにしました。この発見は、強誘電体・圧電体材料や巨大負熱膨張材料などの新たな機能性材料の開発につながる成果です。
同研究グループには、東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所 東正樹教授、重松圭助教、酒井雄樹特定助教(以上3名は神奈川県立産業技術総合研究所併任)、西久保匠研究員、大阪府立大学 山田幾也准教授、高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所 佐賀山基准教授、高輝度光科学研究センター 水牧仁一朗主幹研究員および新田清文研究員が参加しました。
本成果は2020年8月11日(米国時間)にChemistry of Materials誌 でオンライン公開されました。
研究成果のポイント
- 特殊な電子状態に起因した極性構造を持つバナジン酸鉛とコバルト酸ビスマスを固溶させると、1:1に近い組成において、非極性の常誘電体構造が出現することを発見しました。
- この結晶構造変化の起源は、バナジウムイオンとコバルトイオンの間の電子の授受(金属間電荷移動)によることを明らかにしました。
- 強誘電体・圧電体材料や巨大負熱膨張材料の開発に新しい知見を与える研究成果です。
詳しくは プレスリリース をご参照ください。