新展示「オートファジー」を始めました

KEKの常設展示室「コミュニケーションプラザ」で、新しくオートファジーの展示が始まりました。

オートファジーとは

オートファジーとは、生命の細胞の中で起こる「分解」の仕組みです。生きている細胞は大量のタンパク質を合成しますが、同じくらいのタンパク質を分解し、合成と分解のバランスを取りながら生命を維持しています。

大隅 良典(おおすみ よしのり)博士は、単細胞生物である「酵母」を根気強く観察することから始めて、努力を重ね、オートファジーの仕組みを解明しました。オートファジーに関連するタンパク質は、必要なときしか現れないため、観察が難しかったのです。研究の結果、オートファジーは重大な病気に関係することも分かってきました。大隅博士は、あまりよく知られていなかったオートファジーを花形の研究テーマに押し上げたのです。

大隅博士の共同研究者である野田 展生(のだ のぶお)博士と、故・稲垣 冬彦(いながき ふゆひこ)博士は、フォトンファクトリーなどの放射光施設を使ってオートファジーに関係する全てのタンパク質の構造を調べました。

その後の2016年、大隅博士はノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

野田博士と稲垣博士が構造を明らかにしたオートファジー関連タンパク質 ©野田 展生

コミュニケーションプラザのオートファジー展示

KEKコミュニケーションプラザのオートファジー展示

KEKの常設展示室では、フォトンファクトリーで構造が分かったタンパク質の一部(2008年から2013年に発表されたもの)を立体模型で展示しています。また、オートファジーがどういうときに起こるか、その仕組みなどを動画で説明しています。展示内容は北海道大学の野田 展生 教授にご確認をいただきました。

オートファジー展示の近くには、フォトンファクトリーで実験し、2009年にノーベル化学賞を共同受賞したアダ・ヨナット博士に関する展示コーナーもあります。

KEKにお越しの際は、どうぞお立ち寄りください。

オートファジー関連タンパク質の立体模型
オートファジー説明動画の一コマ
アダ・ヨナット博士のリボソーム研究に関する展示コーナー
ヨナット博士が使用した大型ワイセンベルクカメラ

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