10月7日、ドイツのヘルムホルツ協会(Helmholtz Association)会長のマーティン・ケラー(Martin Keller)氏をはじめとする一行24名が、高エネルギー加速器研究機構(KEK)を訪問しました。ヘルムホルツ協会は、ドイツ最大の研究機関群の一つで、国内18の研究センターから構成され、基礎研究から社会実装を見据えた研究まで幅広い分野で活動しています。今回の訪問では、両機関における研究の現状や今後の展望について紹介するとともに、大規模研究施設を基盤とした国際共同研究のあり方や、日独の研究協力について活発な意見交換が行われました。

浅井祥仁(あさい・しょうじ)機構長が一行を歓迎し、KEKの加速器科学、素粒子・原子核物理、量子技術などの研究活動や将来計画について説明がありました。続いて、ケラー会長からヘルムホルツ協会における基礎科学と応用研究を分野横断的に結びつける「systems of systems」の考え方や、AIを活用した研究戦略、研究インフラの重要性、国際連携の強化などについて説明がありました。さらに、ヘルムホルツ協会傘下のDESY(ドイツ電子シンクロトロン)とKEKの長年にわたる研究協力について、ウルリッヒ・フーゼマン(Ulrich Husemann)DESY素粒子物理学部門長から紹介がありました。DESYとKEKは、加速器科学や素粒子・原子核物理、研究者交流などの分野で長年にわたり協力関係を築いています。現在も、KEKがホストするBelle II実験において、DESYをはじめとするドイツの研究機関が、ピクセル崩壊点検出器、物理解析、計算機などに大きく貢献しています。
その後、今後の国際的な研究協力の枠組みについて意見を交わしました。特に、量子センシング、超伝導加速空洞など、日独双方に共通する研究テーマについて、将来的な連携の可能性が議論されました。また、研究助成プログラムなどを活用した日本と欧州の研究協力についても意見交換が行われました。

今回の訪問では、これまで培ってきた両機関の協力関係をさらに発展させるため、KEKとDESYの包括的な協力協定の延長に伴う署名式も行われました。署名式には浅井機構長とフーゼマンDESY素粒子物理学部門長が出席し、今後も研究者交流や共同研究などを通じて、両機関の協力を継続・発展させていくことを確認しました。

その後、一行は二つのグループに分かれてKEKの施設を見学しました。KEKにおける量子技術研究の拠点である量子場計測システム国際拠点(WPI-QUP)では、東拠点長や新田主任研究員らの案内で新研究棟を見学しました。さらにSuperKEKBトンネルを訪れ、KEKが進める最先端の研究施設について説明を受けました。



今回の訪問を通じて、ヘルムホルツ協会とKEK、ならびにDESYとKEKの間で相互理解が深まり、今後の研究協力のさらなる発展につながることが期待されます。