
KEKと欧州合同原子核研究機関(CERN)の各委員を含む研究者が、共同研究の進捗状況や今後の展望などを報告し、さらなる連携の可能性を議論する「KEK-CERN委員会」が、9月7日(月)にスイス・ジュネーブのCERNで開催されました。本委員会は、KEKとCERNとの間で締結された協定に基づき、両機関の代表者から構成される委員によって、毎年KEKとCERNで交互に開催されています。第21回となる今回は、KEKからは浅井祥仁機構長をはじめとする12名、CERNからはマーク・トムソン所長をはじめとする12名(うち1名はオンライン参加)が出席しました。CERN所長が本委員会に出席するのは、2012年の第7回以来です。

KEKとCERNの協力関係は、日本がCERNで行われている大型ハドロン衝突型加速器(LHC)プロジェクトへ参加したことをきっかけに、1994年に始まりました。その後、LHCの電磁石製造や、LHCの国際共同実験であるATLAS実験への参画を通して、両機関は深い信頼関係を築いてきました。現在は、LHC加速器高輝度化プロジェクト(HL-LHC)、KEKのSuperKEKBにおける研究、次世代の加速器プロジェクト、ニュートリノ研究、量子技術開発といった多岐にわたる分野で共同研究開発を推進しています。また、両機関の連携を一層強化するため、2014年からは互いに分室を設置しています。
本委員会では、ATLAS実験の検出器アップグレード作業の状況やHL-LHC建設に向けたKEKからの貢献といったテーマに加え、CERNの次期大型計画候補との連携、次世代加速器や検出器の技術開発に向けた枠組みの拡大、ニュートリノ研究における連携の可能性、CERNの量子技術イニシアチブ(QTI:Quantum Technology Initiative)の共同プロジェクトなど、将来のより強固な協力関係を視野に入れた新たなテーマについて、各グループを代表する研究者がKEKとCERNの双方から出席して詳細な報告と議論を行いました。
委員会の翌日、9月8日(火)には、CERNの視察ツアーが行われました。一行は日本人研究者が作業を行っているATLAS検出器、HL-LHC用の磁石群(IT String)のフルスケール実証実験が行われるSM18、KEKが中核機関のひとつとして参加するT2Kやハイパーカミオカンデなど、世界のニュートリノ実験を支える研究基盤であるニュートリノプラットフォームを視察しました。ガイドを務めた各施設の研究者からは、最新の技術や設備について紹介されたほか、進行中のプロジェクトの状況や日本の貢献、今後の取り組みについても説明されました。前日の委員会で議論された話題を含め、ガイドと参加者の間で活発な意見交換が交わされました。


