PFゆかりのレオナルド・シャバス博士らが2026年イグ・ノーベル化学賞を受賞

2026年9月3日、2026年のイグ・ノーベル賞が発表され、総合研究大学院大学(総研大)を修了し、KEK物質構造科学研究所フォトンファクトリー(PF)の助教を務めたレオナルド・シャバス博士らの国際研究チームが、化学賞を受賞しました。

イグ・ノーベル賞は、「人々を笑わせ、そして考えさせる」研究に贈られる賞です。今年の化学賞は、胎内で子どもを育てるゴキブリの一種、Diploptera punctataがつくる、いわゆる「ゴキブリのミルク」に関する研究に贈られました。

このゴキブリは、母親の体内でミルク状の栄養物を分泌し、成長中の子どもに与えます。子どもが取り込んだミルクに含まれるタンパク質は、腸の中で小さな結晶になります。

研究チームは、この結晶を取り出してX線を当て、得られた回折データから原子レベルの立体構造を解析しました。その結果、結晶にはタンパク質だけでなく糖や脂質も含まれ、それらが密に詰まっていることが明らかになりました。また、一つの結晶には、同じ重さの牛乳の3倍を超えるエネルギーが含まれると推定されました。

この研究では、PFの実験ステーション「BL-1A」でも、構造決定の手がかりとなるX線回折データが測定されました。なお、1.2オングストローム(0.12ナノメートル)という高い分解能のデータは、スイスの放射光施設SLSで取得されました。

シャバス博士は総研大で博士号を取得した後、PFの助教として、タンパク質の構造を調べる実験装置の開発や利用者支援に携わりました。その後、European XFEL、フランスの放射光施設SOLEIL、名古屋大学などを経て、現在はDECTRIS Japanの代表取締役を務めています。

一見すると意外な「ゴキブリのミルク」を、放射光によって原子レベルで解き明かした今回の研究。PFで培われた研究と技術が、ユニークな科学研究を支えた成果の一つです。

フォトンファクトリーで、高校生の見学対応をするシャバス博士(2013.3.30撮影)

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