7月28日、つくば国際会議場(茨城県つくば市)で「KEKビジョン2026オープンシンポジウム」を開催しました。会場には、国内の大学やKEKに所属する研究者ら約170人が集まり、海外からの参加を含む約360人がオンラインで参加しました。シンポジウムでは、KEKが今後推進する研究の方向性や、新たな研究戦略の基盤となる「KEKビジョン2026」について、幅広い議論が交わされました。
KEKの将来像を描く「KEKビジョン」
KEKではこれまで、研究推進の指針として「KEKロードマップ」を策定してきました。一方で、研究計画の技術的な成熟度や予算、人的資源などを含めた実現可能性の検討が十分ではないことや、大型研究計画の選定プロセスが分かりにくいことなどが課題となっていました。また、研究所や施設ごとの縦割りを越え、KEKが持つ多様な研究分野や技術を組織横断的に結び付けていく必要性も指摘されてきました。
こうした課題を踏まえ、KEKにおける大型研究計画の進め方を見直し、新たな研究戦略の基盤として策定するのが「KEKビジョン」です。KEKが中長期的に推進したい研究テーマを幅広く示すとともに、機構内外の研究者が将来の研究計画について議論する機会とすることを目指しています。
KEKビジョンは、いわば、KEKが実現を目指す研究テーマを集めた「夢のリスト」です。今後は、3年ごとに策定することを計画しています。
組織や研究分野の枠を越えた連携へ
「KEKビジョン2026」の策定に向け、KEKでは6月末まで、研究コミュニティから幅広く意見や提案(インプット)を募集しました。
シンポジウムでは、量子場計測システム国際拠点(WPI-QUP)、物質構造科学研究所、素粒子原子核研究所、加速器研究施設、共通基盤研究施設の代表者が、それぞれに寄せられたインプットの概要を説明し、その中から代表的なアイデアを紹介しました。
紹介されたアイデアには、それぞれの研究所・施設を中心としたものに加え、既存の組織や研究分野の枠を越えた横断的な提案もありました。発表を受け、参加者はKEKが今後推進すべき研究や、分野・組織を越えた連携の可能性について意見を交わしました。
また、電気料金の高騰や物価上昇、人手不足、研究施設の老朽化など、研究活動を支えるうえでの課題も共有されました。限られた資源のなかで研究の質を高めていくため、その進捗に応じて見直す仕組みの必要性についても議論されました。
年内の完成を目指して
KEKでは、今回のシンポジウムでの議論を踏まえて「中間とりまとめ」を作成し、9月中の公表を目指します。公表後には改めて意見を募集し、2026年11月から12月ごろに「KEKビジョン2026」を完成させる予定です。
ビジョンの完成後は、各研究所・研究施設・研究拠点が、掲載されたテーマの中から、概算要求などを通じて実現を目指す大型将来計画の有力な候補を絞り込み、「ショートリスト」としてまとめます。さらに、KEK 国際諮問委員会(KEK Science Advisory Committee:SAC)が科学的な観点から優先順位を検討し、将来プロジェクト計画(Future Project Plan:FPP)としてまとめます。
FPPにまとめられた計画の中から、機構長がさらに詳細な検討を行うものを選定し、個別に設置する委員会によるレビューを実施します。レビューでは、科学的な意義だけでなく、技術的な成熟度、予算見積もりの妥当性、必要な人材を確保できるかといった幅広い観点から、実現可能性を検証します。
今回のシンポジウムは、KEKが目指す将来像を機構内外の研究コミュニティと共有し、組織や研究分野の枠を越えて議論する機会となりました。KEKは今後も幅広い意見を取り入れながら、新たな研究戦略の策定を進めていきます。
