2025年度技術職員専門研修開催報告

専門研修は主として機構内の技術職員を対象に実施される技術研修であり、現場で直接役立つ技術者のための研修として位置づけられています。研修内容は技術職員で構成される委員会によって企画・立案され、年に数件実施されています。研修後は受講者にアンケートを実施し、今後の研修に役立てています。2025年度は4件実施されました。各研修の詳細はKEK技術部門のウェブページ にまとめられています。

1. 真空技術

テーマ1 真空技術講座

日本表面真空学会が主催している、「2025年度営業職・文系にも役立つ真空技術講座」を技術職員専門研修として案内します。この講座は営業職・文系の方など科学技術を専門に学んだ経験のない人にも理解できるように配慮された講習会です。数式は極力使わず、図や動画を利用して真空技術の基礎・真空計・真空ポンプ・真空材料などについて解説します。

講師石橋拓弥(加速器研究施設)
研修日程2025年7月24日 9:45~16:30
研修会場KEKつくばキャンパス研究本館小林ホール
参考2025年度営業職・文系にも役立つ真空技術講座|日本表面真空学会
https://www.jvss.jp/ja/activities/19/detail/00003.html
受講者数全受講者数52人のうち、KEK技術職員は14人

テーマ2 リークテスト実習と無酸素Pd/Ti蒸着及びターボ分子ポンプの排気速度測定実習

リークテストとは真空装置の漏れ(リーク)を確認するためのテストのことで、装置の目的を達成するため、また安全性や耐久性を向上させるためにも不可欠な作業です。本研修の前半はリークテスト実習として、耐久性評価装置とヘリウムリークディテクターを用いてエッジの傷んだICFフランジ、ビューポート、傷のあるオールメタルバルブ、片締めのICFフランジ、手締めのICFフランジなどのリークチェックを体験します。研修の後半では、超高真空下におけるチタン(Ti)とパラジウム(Pd)の蒸着実習およびターボ分子ポンプの排気速度を実際に測定する実習を行います。これらの実習を通じて、真空技術の実践的な知識と操作スキルを身につけることを目的とします。

講師間瀬一彦(物質構造科学研究所)
研修日程2025年9月4日 10:00~16:00
研修会場KEKつくばキャンパスPF実験準備棟、PF光源棟実験ホール
受講者数技術職員3人

テーマ1では真空技術の基礎や真空計及び真空ポンプの種類等を学びました。高校程度の知識を前提に、動作原理を示す図を豊富に用いた解説が行われ、専門外の人でも真空技術全体をイメージしやすい内容となっていました。終了後のアンケートでは「真空の様々な知識や語句等を学ぶことができてよかった」「講義内容と現象が一致し、理解が深まった」といった感想が寄せられました。
テーマ2の終了後のアンケートでは、今回身につけた知識や経験を活用できそうな業務の具体例がいくつも挙げられていました。

2.実践で使えるPLC研修

KEKの研究現場で、機器制御やデータ収集においてPLCが多用されています。PLCが簡便な装置であるとともに、信頼性が高く汎用的であるためです。PLCを扱うことは、制御を専門とする技術者だけでなく、さまざまな実験装置に関わる多くの技術者にとって有用な技術となっています。今回の研修では、4つのテーマを通して実戦で使える使い方を覚えることを目標とします。

テーマ1 PLCを使用した論理回路の基本

講師小林庸男(物質構造科学研究所)
研修日程2025年10月23日、24日
研修会場東海キャンパス1号館

テーマ2 PLCによるカードリーダデータ通信

講師小白川明広(加速器研究施設)
研修日程2025年10月29日、30日、12月3日、4日
研修会場つくばキャンパス電子陽電子入射器棟

テーマ3 PLCの応用使用例(PFビームラインインターロック)

講師小菅隆(物質構造科学研究所)
研修日程2025年10月2025年11月5日、27日、12月2日
研修会場つくばキャンパスPF研究棟会議室、PF実験ホール

テーマ4 電磁石のインターロックシステム

講師長橋進也(加速器研究施設)
研修日程2025年11月11日、14日、18日、19日
研修会場つくばキャンパスPF光源棟、PF電源棟
受講者数技術職員8人

すべてのテーマにおいて参加者は熱心に取り組み、質疑応答も活発に行われていました。実際に手を動かす部分では日々の業務での経験も生かし、講師の丁寧な指導のもと、でデータ通信やシステム構築などの課題を達成することができました。研修後のアンケートではおおむね満足いったとの回答が多く寄せられました。

3.FPGA回路研修

FPGA(Field Programmable Gate Array)は、ユーザが回路構成をプログラム可能なデジタル集積回路であり、高速な信号処理や柔軟なロジック実装に用いられるデバイスです。並列処理性能に優れ、リアルタイム性が求められる用途にも対応可能であることから、KEKの研究現場においてもデータ収集系や信号処理系を中心に広く活用されています。今回の研修は、FPGA回路開発において必須となる開発ツールの操作習得を目的とした実習形式で実施します。組み合わせ回路および順序回路の構築方法、IPコアの活用方法、さらにデバッグ手法に至るまで、開発ツールの基本的な使い方を学びます。

講師田内一弥(素粒子原子核研究所)
研修日程2026年1月15日、16日
研修会場つくばキャンパス先端計測開発棟208
受講者数技術職員5人

未経験者が多く、当初は戸惑う様子も見られたが、参加者は高い意欲を持って取り組み、質疑応答も活発に行われるなど、理解を深めようとする積極的な姿勢が見られました。実習では、講師の丁寧な指導のもと、分からない箇所を一つひとつ理解しながら、回路構築やシミュレーションによる動作確認を通じて課題を克服しました。研修後のアンケートでは満足との回答が多く寄せられました。

4.第二種電気工事士になろう研修

機構には、大小さまざまな電気設備が設置・運用されており、技術職員は電気工事を行ったり直接作業に従事することはなくとも委託したりすることがあります。電気工事士の有資格者は、電気工作物の保安について高度な知識と技能を身に付けた専門技術者として災害発生防止において活躍しています。電気工事士は第一種電気工事士と第二種電気工事士に分けられており、いずれの資格も取得するためには学科試験と技能試験の両方に合格する必要があります。なかでも技能試験については指定された課題の工作物を制限時間内に課された水準を超える品質で完成させることが求められています。第二種電気工事士の専門研修は好評につき昨年度つづき2回目であり、これまでの研修をうけて資格取得した職員全員が今回実技指導の講師を担当しました。

講師
講師サポート
植田猛、宮尾智章、柳岡栄一(加速器研究施設)
青木和之、塩澤真未(加速器研究施設)、
大中政弥、金山高大(素粒子原子核研究所)
岡田尚起 (共通基盤研究施設)
研修日程学科試験対策2025年3月(2時間4回)
技能試験対策2025年5月~7月(2時間8回)
技能試験対策2025年11月~12月(2時間7回)
研修会場つくばキャンパス1号館談話室、東海キャンパス東海1号館123号室
受講者数6人

<学科試験対策25年3月>

受講生の電気に関する知識がさまざまであるため、基礎的な内容から始まり電気工事士の学科試験対策の必須事項を講義しました。後半は実際に使われる工具や部品を受講生に使ってもらいました。

学科試験の必須事項を説明

<技能試験対策25年5月~7月>

つくばキャンパス・東海キャンパス
両キャンパスにわかれて技能試験の研修がおこなわれました。工具や部品の使い方から始まり、複線図の書き方・部品の配置や施工方法を一つひとつ指導しました。

東海キャンパス
つくばキャンパス

はじめのうちは試験課題1つに1時間以上かかり、施工についても未熟でした。受講生は8回の研修で13の課題すべてを製作することで技能をあげ、試験時間の40分以内に良い品質の施工ができるようになりました。資格取得した前回研修の受講生も講師として技術指導にあたり、きめ細かい研修がおこわれました。

<技能試験対策25年11月~12月>

つくばキャンパス・東海キャンパス
上期受験できなかった受講生のために当初予定のなかった下期試験のための研修を行いました。結果として、上期試験で4人、下期試験で2人と前年度に引き続き受講者全員が資格を取得することができました。

つくばキャンパス
東海キャンパス

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