7月11日、ドイツ連邦議会教育・研究・技術影響評価委員会委員長のカイ・ゲーリング議員ほか同委員会メンバー7人とドイツ連邦共和国大使館関係者4人の計12人が、高エネルギー加速器研究機構(KEK)を訪問しました。
ドイツは、KEKがホストする国際共同実験Belle IIにおけるピクセル崩壊点位置検出器、トリガー装置や物理解析などに貢献しています。また、大強度陽子加速器研究施設(J-PARC)で実施されているT2Kニュートリノ実験におけるT2K前置ニュートリノ検出器のタイムプロジェクションチェンバー測定器のガスシステムや、ND280磁石ムーバーに貢献するなど、重要な役割を果たしています。
一行を出迎えた浅井祥仁(あさい・しょうじ)機構長は、歓迎の辞を述べた後、Belle IIやT2K実験におけるドイツとの協力についての紹介と、ILC テクノロジーネットワーク(ITN)の構築状況について説明を行いました。ゲーリング委員長からは、視察団の受け入れに対する謝意が示されたほか、多くのドイツの研究者と日本の研究者が一同に会したことは、日本との科学技術協力の促進を目的とした今回の訪日を象徴するものであるとの言葉がありました。
続いて、後田裕(うしろだ・ゆたか)KEK素粒子原子核研究所副所長から、Belle II実験の概要について、また、フローリアン・ベルンロッホナー教授(ボン大学)から、Belle II実験に対するドイツの貢献についての紹介がありました。これらに対し、ゲーリング委員長は世界的な国際共同実験のシナジー効果や補完関係について関心を示しました。浅井機構長は、グローバルな枠組みの下で、それぞれの機関のアドバンテージを共有する「協力」と同時に、より高いところを目指すための「競争」が重要であると述べました。
一行はその後、Belle II測定器が設置されている筑波実験棟を視察し、Belle II実験に参加するドイツの研究者や大学院生も加わり、活発な交流が行われました。