響き合う昆虫の羽音とギターの音色 「科学と音楽の響宴」を開催しました

講演者の高梨琢磨さん(左)演奏者の村治奏一さん(右)

12月3日、つくば市のノバホールにおいて4年ぶりにKEK主催、つくば市・つくば文化振興財団共催、高エネルギー加速器科学研究奨励会協賛による「科学と音楽の響宴2023」を開催し、659名の来場者がありました。足立伸一・KEK理事の挨拶に始まり、前半に講演、後半にコンサートが行われました。

講演は「虫たちの音と振動の世界~生物音響学への招待~」と題して森林研究・整備機構森林総合研究所東北支所・チーム長の高梨琢磨さんが行いました。高梨さんは害虫の求愛行動を妨害することによって、殺虫剤を使用せずに繁殖を制御する研究を行っています。昆虫の発する音や振動の研究とその応用例について、実際の虫の音を録音した動画を交えて説明を行いました。

講演者の高梨さん

コンサートは著名なギター奏者である村治奏一さんの「ギターで綴る愛と映画の音楽」でした。村治さんは高梨さんの講演内容に合わせて冒頭に「蝶の舌」という映画で使われた曲を演奏しました。今回のために初めて取り組んだとのことです。その他の曲も害虫の求愛が妨げられることを悲恋と捉え、ハッピーエンドではない映画のテーマソングを中心に選曲しました。曲の合間には19世紀に始まるクラシックギターの歴史や映画のエピソードなどの紹介をはさみ、最後のアンコールでは自身の作曲による「虹」を演奏しました。

演奏者の村治さん

今回は初の試みとして、両氏の対談コーナーを設けました。生物音響学とギターとは一見関連のない分野のように見えますが、昆虫が羽をこすって音を出す仕組みが弦楽器を思わせることからいろいろな共通点があるということで、対談は大いに盛り上がりました。

来場者からは、「これまでは講演とコンサートが別々に行われていたが、今回は対談があり、統一感のあるまとまった企画でよかった」という声が聞かれました。

左から進行役の勝田広報室長、高梨さん、村治さん

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