【KEKのひと #54】「みなさんにずっと健康で元気に働いてもらうために」産業看護師 清水珠美(しみず・たまみ)さん

産業看護師の清水珠美さん
体調が悪くなった時やけがをした時などにお世話になる産業看護師の清水珠美さん。いつも笑顔で気さくに職員に話しかけ、働くみんなの元気の源となっている。KEKに来るまでにはどのようなことをしていたのか?これからやってみたいこととは?ご本人に聞きました。

看護師になったきっかけはなんですか?

「高校卒業後の進路選択の時に担任の先生から勧められて、国家資格が取れるのは良いなと思って東京の看護専門学校へ進学を決めました。卒業後は筑波大学附属病院で、3交替制の病棟勤務をしていました。11年目のある日に看護部長室に呼ばれて、次年度から筑波大学の保健管理センターへの異動が告げられました。

当時、大学病院に保育園はなく、3交替勤務のため1歳と3歳の息子の育児のために三つの保育施設とベビーシッターを利用していた私には、平日日勤のみの保健管理センターへの異動は、女神の声でした」

そこからどうされたのですか?

「保健管理センターで、職員と学生さんの健康診断や診療介助をしているときに、働く人の健康管理をする看護師の仕事があることを知りました。2年で病院へ戻る予定でしたが、平日日勤のみの勤務を知ってしまった私は『3交替勤務にはもう戻れない』と思い、募集のあったJAXAに転職しました。

宇宙飛行士の健康診断や訓練看護師をし、そこで三男を出産。企業で予防看護に従事する看護師である『産業看護師』の資格も取りました。任期は5年でしたが、その4年目にKEKで産業看護師の募集があり、産休取得や資格取得などお世話になったJAXAを任期途中で離れるのは断腸の思いでしたが、『今しかない』と思い、2006年にKEKに来ました」

KEKではどのようなことを?

「健康に関する相談がメインの仕事です。健康の困りごとがある方の相談に乗り、必要があれば職場との調整などをしています。メンタルヘルス不調の相談が多く、KEKに就職後に『産業カウンセラー』の資格を取りました。産業カウンセラーは、心理学的手法を用いて働く人たちが抱える問題を自らの力で解決できるよう援助する民間の心理職資格です。

また、職員の皆さんが健康に働くために、AEDの配備や救急用具の設置や補充をしたり、健康診断の手配や事後措置をしたりしています」

KEKは海外からの研究者も多いですが、コミュニケーションで困ることなどありますか?

「自転車で転んでけがをしたとか、体調が悪くなった海外からの研究者の方が相談室に来ます。いざという時に細やかに助ける対応ができるように、英語はもっと流ちょうになりたいなと思います。今はスマートフォンに向かって話したことを翻訳してくれる便利なアプリに助けられています」

これからやってみたいことは?

「KEKでは個人での健康管理はまだ紙でやっていますが、職員が自らの健康管理のために過去のデータなどをデジタルのデータで一覧できたり、オンラインでデータを見ながら産業医面談ができたりするようになったら良いなと思います。

ほかにも障害があり雇用された職員が仕事をしやすいように、周囲とのコミュニケーションの取り方の調整などもしていますが、いろいろなお手伝いをしていけたらと思います」

(聞き手:外部資金室 牧野佐千子)