令和4年度第1回技術セミナー「クライオ電顕実験棟の紹介・見学」が令和4年9月12日、KEK技術職員を対象としてZoomでの講演会と見学会という形式で開催されました。
前半は川崎政人 准教授 (物質構造科学研究所)の講演が行われました。クライオ電子顕微鏡の分解能を劇的に改善させる技術的なブレークスルーが2016年頃にあり、急冷技術によりタンパク質溶液の水をガラス状に凍結させる事などが紹介されました。
また、質の良い結晶が得られるタンパク質は放射光での構造解析ができる一方で、そのような結晶が作成できないタンパク質ではクライオ電顕での構造解析が有用であるため、放射光とクライオ電顕の相補利用による構造生物学研究が重要であり、KEKのクライオ電顕では年間200日以上の共同利用実験が行われている事が示されました。
オンラインでの参加者は講師・世話人含めて15名で予定時間を15分超えて約30分となる活発な質疑が行われました。後半の見学会は世話人含めて9名が参加しました。田辺幹雄特任准教授にウェットラボ、池田聡人研究員にクライオ電顕室を案内していただき、大腸菌などを用いてタンパク質をいかにつくるのか、溶液を入れる微細なグリッドをピンセット等でどのように扱うのか、などについて活発な質疑を交えながら予定時間を15分超えて75分で無事に終了しました。