岩手県安比高原にて、大学院生など若手研究者を対象とした国際スクール、「KEK-IINAS Iwate Collider School 2022」が3月21日から6日間、ハイブリッド形式で開催されました。現地参加27名を含む、22ヵ国から約200名の参加登録がありました。
大学加速器連携ネットワークによる人材育成等プログラム(IINAS)は高い専門性と広い視野並びに国際的通用性を持つ若手研究者を育成することを目的としており、その一環として本スクールを支援しました。
スクールでは、素粒子物理を先導する国内外の講師が招かれ、参加者は6日間かけて基礎から最先端のコライダー物理について学び、また現地参加者はチュートリアルを通してコライダー実験のイベント生成シミュレーションを体験しました。当初は、欧米の講師を現地に招いて講義を行う予定でしたが、新型コロナウイルス感染防止のため、講師の来日は叶わずリモートでの講義となりました。
この2年ほど、コロナ禍で対面の講義や研究会への参加が出来なかった学生にとっては、対面で講師や他大学の学生と理論、実験問わず交流できる貴重な機会となりました。講義はオンラインでも配信し、講義中は活発な質疑応答が行われました。また、現地及びオンラインの参加者と講師陣が双方向に交流できるように、コミュニケーションツールとしてSlackを活用したことも今回のハイブリッド式のスクールの成功の決め手になりました。各講義チャンネルにて担当講師との質疑応答を参加者全員が共有でき、講義の録画をしたことで、世界中の参加者が講義を後からでも見る事が出来ました。また、開催直前に発生した地震により東北新幹線が運休する事態になりましたが、Slackに”to_Morioka”チャンネルを立ち上げ、臨時便の情報や各参加者が自身の交通手段を投稿するなど有用な情報を共有し、全員が遅れることなく無事に現地に集合することが出来ました。
日本ではこのようなコライダー物理を学ぶ機会が少ないため、現在進行中のLHC実験、そしてILC実験を含む将来加速器実験に貢献する若手育成の貴重な場となりました。