日比谷カレッジが開催されました

日比谷カレッジ会場の様子
日比谷カレッジ会場の様子

千代田区立日比谷図書文化館で3月26日(金)、同館主催の学び・交流の場「日比谷カレッジ」が開かれ、KEK素粒子原子核研究所の中山浩幸さんが「宇宙誕生のナゾを探る 巨大な粒子加速器」をテーマに講演した。新型コロナ感染症拡大防止のため、これまで夜だった講演時間帯を昼に変更するとともに、参加人数をホール定員の約4分の1に絞って57人が参加した。講演終了後は、個人的に質問したい参加者たちが中山さんの元に集まるなどとても好評だった。

講演では冒頭、「遠方の宇宙人に『左右の概念』を伝えることができるのか」と参加者たちに問いかけた。続いて、物理学とは何か、高エネルギー物理学実験とは、加速器とは、CP対称性とは、などわかりやすく解説。そして、Belle実験でCP対称性の破れを観測して小林・益川理論の正しさを実証、小林・益川両博士の2008年のノーベル賞受賞につながったことを紹介した。

中山さんは講演の終わりに、冒頭の問いについて改めて触れ、「宇宙人には左右非対称な物理現象を使って伝えればよい」と種明かしをした。そして、左右非対称な物理現象の例としてコバルトのベータ崩壊を挙げた。

講演後30分の質疑応答。会場から「研究者には実験屋と理論屋があるというが、どう違うのか」「KEKBの最近の研究成果は」「時間の対称性はあるのか」など、質問が相次いだ。小学生らしき参加者からは「ぼくは将来科学者になりたいのですが、科学者の給料はどうですか」という質問が出て、会場を沸かせた。

参加者に向かって語りかける中山浩幸助教