KEKは新型コロナウイルス感染症対策に細心の注意を払い研究活動を着実に継続しています

新型コロナウイルスの感染拡大にともない政府の緊急事態宣言延長や、つくば市における外出自粛要請、茨城県の要請などが発表されましたが、高エネルギー加速器研究機構(KEK)ではいち早く対策本部を設け、感染対策に細心の注意を払った上で実験研究活動の維持継続に全力を尽くしています。人と人との接触を極力避けるため国内外の外部研究者がほぼ不在となり、平均7割の職員が在宅勤務を行うという厳しい状態下で、現場ではさまざまな工夫を凝らして必要最小限の人数で研究施設の運転と維持継続を図っています。主要各実験施設の稼働状況とその維持継続を図るための対策を以下の通りご紹介します。

新型コロナウイルス感染の発生時から拡大防止に尽力し、私たちの日常を守ってくださっている医療関係者、ドラッグストア・スーパー・コンビニ、公共交通、物流、製造業等々の皆様にこころから感謝申し上げます。

SuperKEKB加速器

  • 【現状】業務委託員と職員の安全を確保した上でほぼ計画通り運転中。運転状況はコチラで見ることができます。
  • 【対策】
  • ①運転シフト・運転に関する業務委託員の確保。
  • ②運転に直接関わらない業務委託員は移動し、職員も不要不急の滞在は中止する様に努め、コントロール室の滞在者数の最小化を図っています。
  • ③アルコール消毒液やマスクなどを常備しています。
  • ④運転に関する定例会議や各種打ち合わせはリモート化し、在宅勤務者も参加できるように切り替えています。

Belle II国際共同実験

  • 【現状】シフト体制を変更し、感染予防を行った上で運転を継続中です。
  • 【対策】
  • ①制御室におけるデータ収集作業は通常2人体制で行っていますが、3月の時点から制御室に入室可能な人数を1人とし、もう1人の作業員はリモートで行う体制をとっています。Belle IIグループは早い段階からKEKに来構する共同利用者を制限し、制御室に入室可能な研究者も3月時点で既にKEK周辺に在住/滞在する人だけに制限しています。リモートの作業は世界中の共同研究者に協力していただいています。
  • ②アルコール消毒液やマスク、体温チェックなどを行い感染予防に努めています(シフト要員用に中国の共同研究者からマスクを提供していただきました。ご厚意に感謝申し上げます)

放射光実験施設(PF)

  • 【現状】他地域からの共同利用者が来構できないため、2020年度第I期運転(5/8-7/1)の開始を現在見合わせています。状況次第で早期運転再開を検討しています。
  • 【対策】
  • ①外部利用者が来構せずとも試料を送付すれば測定できるよう、リモート化や自動化などの高度化に取り組んでいます。代行測定への対応も進めます。
  • ②すでにリモート化、自動化しているビームラインでは利用対象者を拡大しました。
  • ③ソーシャルディスタンスを確保する環境を整備しました。
  • ④各種会議をリモート化するとともに、運転状況や運転日誌をVPN経由でWEB配信しています。

J-PARC

  • 【現状】感染予防策を強化し、施設全体の運転再開に向けて準備中です。
  • 【対策】
  • ①会議をリモ-ト化してます。
  • ②物質・生命科学実験施設(MLF)については、来訪できないユーザーのために、試料の代行測定やメールイン(郵送)を実施しています。
  • ③MLF関係者が、世界中の中性子施設と共にCOVID-19対策に関連する研究連携について議論しています。

その他

主要各実験施設以外に関しても、KEKは在宅勤務、研究会や打ち合わせのオンライン化を積極的に実施しています。KEKで学ぶ総合研究大学院大学の学生教育については、授業はもちろんのこと、輪講もオンラインで行い、通常の教育が途切れないよう工夫。学生の面談をオンラインで行い、研究面や健康面に問題がないか注意を払っています。