放射光源設計の新機軸 – ハイブリッドリングによる放射光2ビーム同時利用 –

ハイブリッドリングの概念図

大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構

【概 要】

大学共同利用機関法人高エネルギ-加速器研究機構(以下「KEK」)の物質構造科学研究所と加速器研究施設が共同で運営する放射光実験施設フォトンファクトリーにおいて、長パルス超伝導線形加速器と蓄積リングとを組み合わせた新しい放射光源のアイディアが提案された。

フォトンファクトリーは、X線域に及ぶ広範なエネルギーの放射光の利用を可能にする国内最初の専用施設として1982年にファーストビームの発生に成功し、40年の長期にわたり、大学の基礎研究から企業の応用研究まで、幅広く活用されて成果を挙げてきた。KEKでは、ファーストビームから50周年にあたる2030年代前半までにフォトンファクトリーの後継施設を建設することを目指しており、世界的な加速器の研究機関に相応しい新光源施設の検討を進めている。

KEK加速器研究施設・加速器第六研究系の原田健太郎准教授、同小林幸則教授(研究主幹)、KEK物質構造科学研究所・放射光実験施設の船守展正教授(実験施設長)らの研究グループは、新概念による放射光源施設「ハイブリッドリング」を考案した。ハイブリッドリングでは、従来の放射光実験を継続・発展できるだけでなく、放射光2ビーム同時利用という新しいタイプの放射光実験が可能になることから、幅広い科学技術分野へのより一層の貢献が期待される。

この研究成果は、国際学術誌「Journal of Synchrotron Radiation」に12月29日に掲載された。

【本研究成果のポイント】

〇極低エミッタンス・極短パルスの電子ビームを効率よく生成できる長パルス超伝導線形加速器を入射器として採用することで、放射光源としての蓄積リングの自由度が飛躍的に向上し、多種多様な放射光実験が可能になる。

〇線形加速器からの電子ビームを蓄積リングに1回だけ通過させて利用することで極低エミッタンス・極短パルスの放射光ビームの利用が可能になるだけでなく、蓄積リングで極低エミッタンスを追求した場合に困難となるような利用の継続と発展も可能になる。

〇蓄積ビームと通過ビーム、それぞれが発する放射光をサンプルに照射することで、放射光2ビーム同時利用実験が可能になる。新しいタイプの放射光実験が可能になることから、幅広い科学技術分野への一層の貢献が期待される。

詳しくは  プレスリリース  をご参照ください。