国立大学法人東北大学
国立大学法人大阪大学
株式会社豊田中央研究所
大学共同利用機関法人自然科学研究機構分子科学研究所
大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構
学校法人沖縄科学技術大学院大学学園
超伝導などの量子現象は、電子がどのように存在しているかに大きく左右されます。特に電子が特定のエネルギーに集中しやすい「特異点」(サドル点, 図1a)と呼ばれる状態は、超伝導を強める重要な要素として知られています。しかし、これまでその効果は主に2次元的な材料での検証にとどまっており、3次元結晶で同様の強い効果を実現することは難しいと考えられてきました。
東北大学、大阪大学、豊田中央研究所、分子科学研究所、高エネルギー加速器研究機構、沖縄科学技術大学院大学などの共同研究グループは、3次元的な電子構造を持つ超伝導合金Pt(Bi1-xSex)2に着目しました。放射光を用いた角度分解光電子分光(ARPES)及び光電子運動量顕微鏡測定と、合金中の原子置換の乱れを取り込めるコヒーレントポテンシャル近似(CPA)計算を用い、電子の動きを調べた結果、サドル点が環状につながった特殊な電子状態「サドルループ(輪状特異点)」(図1b)の存在を見出しました。また、サドルループがフェルミ準位に近づく組成ほど、超伝導転移温度が高くなるという相関を明らかにしました。本成果は、これまで主に2次元材料で利用されてきたサドル点の物理を3次元材料へ拡張するものであり、新しい超伝導体や強相関量子材料の探索に向けた設計指針になると期待されます。
本成果は、2026年10月14日、科学誌npj Quantum Materialsに掲載されました。

(a) サドル点の模式図。電子バンドが水色の点線に沿って山(凸)、橙色の点線に沿って谷(凹)のようなエネルギー分散を示し、それらが交わる紫色の点がサドル点に対応する。
(b) サドルループの模式図。サドル点が紫色の輪に沿って連なった構造を持つ。
本研究における放射光実験は高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所放射光共同利用実験課題(課題番号:2024S2-001、021S2-001)により実施しました。
詳細は 東北大学 のホームページをご覧ください。
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