不安定核ランタン149の基底状態を識別し質量を精密決定

質量-半減期同時測定により原子核の状態を識別

大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構
国立研究開発法人理化学研究所

Question

原子核を形づくる陽子や中性子がどのように結びつき、さまざまな原子核構造を生み出すのかを理解することは、原子核物理学の基本的な目標です。原子核の質量は、原子核構造の理解や理論モデルの検証に不可欠な基礎データです。中性子過剰同位体ランタン149については、先行する質量測定から、原子核質量に基づく指標である二中性子分離エネルギーが、通常のなめらかな変化から外れる、特異な振る舞いを示す可能性が示唆されていました。この解釈を検証するためには、鍵となるランタン149の基底状態質量を高い確度で決定することが求められていました。

Findings

本研究では、多重反射型飛行時間測定式(MRTOF)質量分光器にベータ崩壊検出機構を組み合わせ、質量と半減期を同時に測定しました。これにより、測定されたイオンがどの原子核状態に対応するのかを識別しながら質量を決定することが可能となりました。その結果、ランタン149の基底状態質量を高い確度で決定しました。本研究で得られた質量値を用いると、先行測定から示唆されていたランタン同位体に特有の二中性子分離エネルギーの振る舞いは見られませんでした。

Meaning

本研究により、ランタン149の基底状態質量を高い確度で決定し、原子核構造の理解や理論モデルの検証に不可欠な情報を得ることができました。本成果は、短寿命核の質量測定において、質量だけでなく半減期を同時に測定し、原子核状態を識別することの重要性を示しました。これにより、ランタン149を含む中性子過剰ランタン同位体の構造を議論するための、より確かな実験的基盤が得られました。

実験装置の概念図

概要

大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構(KEK)・素粒子原子核研究所・和光原子核科学センターの木村創大研究員、和田道治名誉教授(現中国科学院近代物理研究所)、国立研究開発法人理化学研究所の開拓研究所・上野核分光研究室、兼仁科加速器科学研究センター・核構造研究部のマルコ=ローゼンブッシュ研究員、および同核構造研究部低速 RI ビーム生成装置開発チームの石山博恒チームリーダーを中心とする国際共同研究グループは、多重反射型飛行時間測定式(MRTOF)質量分光器を用いて、不安定短寿命同位体ランタン149の質量-半減期同時測定に成功しました。これにより、ランタン149について基底状態の質量値を精密に決定しました。また、原子核状態を識別しながらランタン149の質量を測定することで、先行する質量測定から示唆されていた、ランタン同位体に特有の質量の振る舞いは見られないことを示しました。この結果は、中性子過剰なランタン同位体の構造理解に新たな手がかりを与えるものです。

本研究の成果は、物理学の国際的な専門誌である「Physical Review Letters」に掲載されました。

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お問い合わせ先

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