高エネルギー加速器研究機構
J-PARCセンター
日本原子力研究開発機構
宇宙航空研究開発機構ほか記者発表
「小惑星探査機『はやぶさ2』初期分析
石の物質分析チーム研究成果の科学誌『Science』論文掲載について」
に記載のミュオン分析についてご紹介します。
本研究成果のポイント
○小惑星リュウグウの石の初期分析に大強度陽子加速器施設(J-PARC)のミュオン元素分析法を適用した
○およそ0.1 gの試料の非破壊分析を行い、リュウグウの石の平均的元素組成が明らかに
○これまで最も始原的と言われていた隕石の組成と近いものの、酸素の含有量が明確に少ないことが判明
概要
高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所の三宅康博名誉教授、梅垣いづみ助教、竹下聡史助教と日本原子力研究開発機構(JAEA)の大澤崇人研究主幹は、大阪大学の二宮和彦准教授、寺田健太郎教授、邱奕寰特任研究員、東京大学の高橋忠幸教授、長澤俊作大学院生、京都大学の谷口秋洋准教授、国際基督教大学の久保謙哉教授、宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所の渡辺伸准教授、東北大学の中村智樹教授(「はやぶさ2」初期分析「石の物質分析チーム」代表)、和田大雅大学院生らと、ミュオン分析チームとしてミュオンを用いた元素分析法を小惑星リュウグウの石に適用し、非破壊でその元素組成を明らかにすることに成功しました。リュウグウの石の組成は、これまで最も始原的な物質であると言われていた隕石と近い組成を示す一方で、これらの隕石と比べて酸素の含有量が明らかに少ないことが分かりました。
ミュオンを用いた元素分析法は、研究グループが大強度陽子加速器施設(J-PARC)において世界に先駆けて開発してきた新しい分析手法で、分析することが難しい生命の材料である炭素や窒素などの軽い元素を非破壊で定量することができます。
本研究成果を含む「はやぶさ2」初期分析「石の物質分析チーム」による全体の研究成果は、9月22日(木)(日本時間9月23日(金)午前3時)にアメリカ科学振興協会(AAAS)サイエンス(Science)誌に掲載されました。
本研究は文部科学省 科学研究費助成事業 新学術領域研究 (2018–2022)「宇宙観測検出器と量子ビームの出会い。新たな応用への架け橋。」の一環として実施されました(課題番号18H05457, 18H05460, 18H05463, 18H05464)。また、実験は、J-PARC 物質生命科学実験施設MLFにおいて高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所ミュオン共同利用実験課題2019MS01として実施されました。
問合せ先
高エネルギー加速器研究機構(KEK)広報室
TEL: 029-879-6047
e-mail: press@kek.jp
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