共鳴トンネル効果を用いたモットトランジスタの原理検証に成功 ~次世代デバイスの実現に向けて~

東北大学多元物質科学研究所(IMRAM)
高エネルギー加速器研究機構(KEK)

概要

モットトランジスタは、高性能で消費電力の低いトランジスタが実現できることから、次世代デバイスの有力候補として盛んに研究されています。モットトランジスタでは、モット絶縁体における電気を流さない「電子固体」と電気を流す「電子液体」間の電子相転移(モット転移)を利用して On/Off を切り替えます。しかし、モットトランジスタにおいては、従来広く用いられてきた電界効果型トランジスタ構造ではさまざまな原理的な問題がありました。東北大学多元物質科学研究所の組頭広志教授らの研究グループは、高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所の湯川龍特任助教(現:大阪大学大学院工学研究科 助教)らと共同で、量子井戸間の共鳴トンネル効果を利用した新しい原理で動作するモットトランジスタを開発しました。
今後、この知見に基づいて最適なデバイス構造を設計することで、Beyond CMOSの有力候補であるモットトランジスタの実現が期待されます。

本研究成果は、英国科学雑誌Nature Communicationsのオンライン版に2021年12月3日付けで公開されました。

本研究成果のポイント

・量子井戸間の共鳴トンネル効果を用いて、金属・絶縁体転移を制御することに成功しました。
・その様子を高輝度放射光を用いた角度分解光電子分光により可視化することで、その原理を検証しました。
・この成果は、新しい原理で動作するモットトランジスタの開発につながると期待されます。

詳しくは  プレスリリース  をご参照ください。