報道関係者各位
高エネルギー加速器研究機構
東北大学 大学院理学研究科
東京大学 大学院理学系研究科
大阪大学
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構
J-PARCセンター
小惑星探査機はやぶさ2の小惑星リュウグウからのサンプル採取は「我々はどこから来たのか」を解明することを科学的な目標としています。太陽系の起源と進化、地球の海や生命の原材料物質を探るため、アプローチの異なる初期分析チーム6チームそれぞれが1年をかけて試料を分析します。
その一つ「石の物質分析チーム」は、東北大学 大学院理学研究科の中村智樹教授が率いる研究者90余名からなるチームで、試料に含まれる含水鉱物に着目しリュウグウの形成過程をモデル化することを目的としています。はやぶさ2プロジェクトでは「石」とは直径1 mm以上の大きさの粒を指します。
「石の物質分析チーム」は、その目的のために国内外においてさまざまな分析手法を用いますが、初期段階にKEK物質構造科学研究所の加速器から生み出される2種の量子ビーム(フォトンファクトリー(PF)の放射光と、大強度陽子加速器施設(J-PARC)物質・生命科学実験施設(MLF)のミュオン)を用い、世界が注目するリュウグウの物質分析を開始します。初期段階の分析のことを「上流の」分析と呼びますが、上流で量子ビームを用いる理由は、微量の試料を非破壊で分析でき、下流の分析に影響を与えないからです。希少な試料を有効に活用する知恵とも言えます。
中村教授の研究グループは、2010年に小惑星探査機はやぶさが持ち帰った小惑星イトカワの試料分析にも放射光を用いPF BL-3A極限条件下精密単結晶X線回折ステーションのX線回折および蛍光X線分析を活用しました。この間の量子ビームを用いた物質分析性能の向上はめざましく、今回の分析では、PF BL-3Aに加えてPF BL-19A軟X線顕微・分光実験ステーションの走査型透過X線顕微鏡(STXM)およびJ-PARC MLFのミュオン科学実験施設(MUSE) D2ミュオン基礎科学実験装置での負ミュオンを用いた元素分析が用いられます。
記者会見・見学会 登壇者
○東北大学 大学院理学研究科 中村 智樹(なかむら ともき)教授
「石の物質分析チーム」リーダー、研究分野:惑星科学
○東京大学 大学院理学系研究科 高橋 嘉夫(たかはし よしお) 教授
PF BL-19Aでの分析に参加、研究分野:分子地球化学
○大阪大学 放射線科学基盤機構 二宮 和彦 (にのみや かずひこ)准教授
J-PARC MLF MUSE D2での分析に参加、研究分野:量子ビーム科学
記者会見・見学会 スケジュール
2021年6月25日(金)14時~15時30分(Zoom meetingにて開催)
14:00~14:20 | 分析の概要説明 | 東北大学 中村 智樹 教授 |
14:20~14:45 | 質疑応答 | 東北大学 中村 智樹 教授 東京大学 高橋 嘉夫 教授 大阪大学 二宮 和彦 准教授 |
14:45~15:00 | PF BL-3A見学 | 東北大学 中村 智樹 教授 |
15:00~15:15 | PF BL-19A見学 | 東京大学 高橋 嘉夫 教授 |
15:15~15:30 | J-PARC MLF MUSE D2見学 | 大阪大学 二宮 和彦 准教授 |
見学会では、実験現場から研究者が装置等の説明をします。関連する質問をすることも可能です。
6/25当日はPF BL-3Aにて分析中のため、中村教授の参加は15:00までとなります。
参加申込み
こちらのURLからお申込みください。
https://forms.gle/eVkXwycXscN7u6hUA
申込み締切:6月24日(木)17時
問合せ先
KEK広報室
Tel:029-879-6046
e-mail:press@kek.jp