J-PARCハドロン実験施設で新たなビームラインの運転を開始しました

主リング(MR)加速器からハドロン実験施設まで。図中の赤いラインが今回新設されるビームラインです。

J-PARCセンタ-
大学共同利用機関法人高エネルギ-加速器研究機構

概要

⾼エネルギー加速器研究機構(KEK)と日本原子力研究開発機構(JAEA)が共同で運用する、茨城県東海村にある大強度陽子加速器施設J-PARCのハドロン実験施設)では、かねてより新たな陽子ビームラインの準備を進めてきましたが、6⽉24⽇に第三者機関による施設検査に合格し、ビームラインの運転およびそこでの共同利用実験を開始しました。新たなビームラインの運転により、日本で一番高いエネルギーとなる陽子ビームを、実験に使えることになりました。

J-PARCハドロン実験施設では、J-PARCの主リング(MR)加速器で加速された30GeVの陽子ビームを用いて、原子核物理や素粒子物理の実験研究が行われています。これまでは、高強度のπ(パイ)中間子やK(ケイ)中間子といった、陽子ビームを金属標的に照射して発生する二次粒子と呼ばれる粒子を使って、ストレンジクォークを含むハドロンや原子核の実験が強力に推し進められてきました。

今回新たに運転を開始したビームラインでは、30GeVという高運動量の陽子ビームを直接実験に用いることができるようになります。また、このビームラインをさらに高度化し、高運動量の2次ビームの利用ができるようになると、高い質量を持つハドロンの生成や、チャームクォークを含む希有なハドロンについても研究を展開することができるようになります。高運動量の陽子を直接用いることにより、ハドロン実験施設で行われる実験の幅が、さらに一段と広がりを見せることになります。

詳しくは  プレスリリース  をご参照ください。