KEKでは研究で蓄積された知見や加速器科学について一般の方に広く紹介し、興味や関心を持っていただくことを目的に年2回、公開講座を開催しています。
2023年度第2回の公開講座を11月11日(土)にKEKつくばキャンパスにて開催します。今回のテーマははやぶさ2。なおオンライン配信はありません。
参加をご希望の方は、イベント情報サイトPeatixにて事前のお申し込みをお願いします。
開催概要
「はやぶさ2からの贈り物~小惑星リュウグウの石からわかったこと」
日時 | 2023年11月11日(土)13:30~16:00 (開場13:00) |
会場 | KEKつくばキャンパス 研究本館 小林ホール (〒305-0801 茨城県つくば市大穂1-1) ※無料駐車場あり【当日のご案内】 |
対象 | 中学生以上 |
定員 | 200名(事前申し込み制・先着順) |
参加費 | 無料 |
申し込み締切 | 11月9日(木)23:55 |
申し込み方法 | イベント情報サイトPeatix |
問い合わせ先 | 広報室 TEL:029-864-5113 メール:kouza@kek.jp |
プログラム
時間 | 内容 |
12:00 | 受付開始 |
13:00 | 小林ホール開場/入場開始 |
13:35-14:35 | 講演1「走査型X線顕微鏡を使った「はやぶさ2」リターンサンプル分析への挑戦」講演者 山下翔平(KEK物構研 放射光実験施設 助教) |
14:35-14:55 | 休憩(20分) |
14:55-15:55 | 講演2 「X線分光によるリュウグウの起源や水環境の推定」講演者 高橋嘉夫(東京大学大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻 教授) |
16:00 | 終了予定 |
講演の内容
講演1「走査型X線顕微鏡を使った「はやぶさ2」リターンサンプル分析への挑戦」
講演者 山下翔平(やましたしょうへい)
講演概要
小惑星探査機「はやぶさ2」がオーストラリアの砂漠に落としていった小惑星リュウグウのかけらは、今も世界中の多くの研究者によって分析されています。回収したカプセルに入っていたリュウグウの試料はたった5グラムほど。宇宙航空研究開発機構(JAXA)によって詳細に調査された後、その一部が「はやぶさ2初期分析チーム」に託されました。実はこの初期分析にKEKのフォトンファクトリー(PF)で生み出される放射光が活躍しました。PFでは軟X線(比較的エネルギーが低いX線)を用いた走査型透過X線顕微鏡(STXM:スティクサムと呼ぶ)装置を開発しています。この顕微鏡ではミクロな領域での物質中の元素情報はもちろん、原子の化学状態までもの情報をマッピング画像として観ることができます。
本講演では、リュウグウの分析に貢献したこの特殊な顕微鏡の原理や特徴について説明しつつ、初期分析チームのうち、PFを活用した「石の物質分析チーム」や「固体有機物分析チーム」での取り組みについて装置や測定環境を中心に紹介します。
講演2 「X線分光によるリュウグウの起源や水環境の推定」
講演者 高橋嘉夫(たかはしよしお)
講演概要
リュウグウは、水や有機物に富む始原的なC型小惑星であり、その試料を地球上での汚染の影響なく調べることには多くの意義がある。また持ち帰られた試料は小さく、そこから非破壊で多くの情報を引き出す必要がある。これらの厳しい要請を満たす方法が、放射光X線を用いた様々な分析(X線CT、X線回折、X線吸収微細構造(XAFS)法)である。特に微小なX線ビームを用いたX線顕微鏡(XAFS分析が可能)から分かる元素の試料中の分布や化学種の情報からは、リュウグウやその母天体に関する多くの情報が得られる。例えば揮発性元素の検出は、リュウグウ母天体が太陽系の木星より外側(外側太陽系)で形成され、その後で内側太陽系に移動したことを示す。また鉄の価数や主要元素の化学種の同定は、リュウグウに元々存在していた鉱物と水との反応を反映し、そこから分かるpHや酸化還元状態などの水質情報は、リュウグウ母天体が生命の起源となるような有機物を合成するに適した環境にあったどうかを示す。
交通案内
【往路】便名 | つくば駅A5出口前 バス停「クレオ前」 乗場(発) ※変更になりました | KEKつくばキャンパス 小林ホール前(着) |
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1 | 12:00 | 12:20 |
2 | 12:30 | 12:50 |
3 | 13:00 | 13:20 |
【復路】便名 | KEKつくばキャンパス 小林ホール前(発) | つくば駅(着) |
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1 | 16:15 | 16:35 |