インド共和国駐日大使がKEKを訪問

6月30日、シビ・ジョージ(Sibi George)駐日インド大使とパンワル科学技術担当参事官が、高エネルギー加速器研究機構(KEK)を訪問しました。 

インドは、KEKがホストする国際共同実験のBelle II実験におけるシリコンバーテックス検出器開発や中央飛跡検出器のデータ解析などに大きく貢献しています。また、放射光実験施設(フォトンファクトリー)では、インド政府科学技術庁(DST)との覚書のもとインドビームラインを設置し、インド人研究者および一般ユーザーへ開放し、利用研究を実施しています。

KEK管理棟前にて 
(左から2番目:シビ大使、右から2番目:浅井機構長) 

シビ大使を出迎えた浅井祥仁(あさい・しょうじ)機構長は、歓迎の辞およびインドとの協力の更なる進展への希望を述べた後、今回はKEKで学んでいるインド人大学院生も同席していることに触れました。シビ大使は、日印科学技術協力協定40周年となる今年にKEKを訪問できたことに対する喜びを示すとともに、インドは科学技術の発展に力を入れており、日本とインドの科学技術分野におけるさらなる協力関係の強化が重要であると述べました。

浅井機構長からは、機構の研究概要に加え、Belle II実験やフォトンファクトリーをはじめとするインドとの多くの協力関係やその貢献、さらに学生交流についての紹介がありました。続いて、五十嵐教之(いがらし・のりゆき)KEK物質構造科学研究所・放射光実験施設長から、フォトンファクトリーの現状やインドビームライン、開発研究多機能ビームラインの説明があり、インドビームラインで実際に研究を行っているスバディップ・チャウドゥリー博士(サハ原子核物理研究所)から、インドビームラインでの実験について、開発経緯、成果などの説明がありました。

シビ大使から、物質科学分野に限らず幅広い分野での今後の協力の可能性について質問があり、齊藤直人(さいとう・なおひと)KEK素粒子原子核研究所長やインド人大学院生から素粒子・原子核分野での協力可能性について説明があるなど、活発な議論が繰り広げられました。

シビ大使はその後、インド研究者や大学院生とともにフォトンファクトリー実験ホールのインドビームラインや開発研究多機能ビームライン、Belle II測定器が設置されている筑波実験棟を視察し、活発な交流が行われました。今後インドとの協力が一層深まり、物質科学や素粒子物理学分野での研究推進が期待されます。

フォトンファクトリー・実験ホールにて、インドビームラインでの実験に参加するインド人研究者と懇談
(左から1番目が、シビ大使)

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