
高エネルギー加速器研究機構では“広く一般にKEKの研究活動に対する理解と科学技術に対する関心を深めてもらい、科学技術に親しむ機会を提供する”ことを目的として一般公開を毎年開催しています。通常ではなかなか立ち入れない実験施設や、研究者による工夫を凝らした研究展示などを自由に見ることができる、年に一度の機会となっています。
9月7日(土)、「KEK一般公開2024」を開催しました。イベント当日は天候に恵まれ、4200人もの方々にKEKの研究現場を見ていただくことができました。ご来場いただいた皆さま、ありがとうございました。
会場の雰囲気を感じていただけるよう、一般公開の様子を一部紹介します。

- 一般公開で活躍した乗り物

珍しい乗り物が登場しました。


循環し、来場者の足になりました。

公開施設
今年度はこれまでで最多の16の実験施設・展示施設を公開。PF-AR南実験棟の測定器開発テストビームラインを初公開しました。また、KEK一般公開2024のメインビジュアル「コッククロフト・ウォルトン型加速器」では特別なライトアップが行われました。
コッククロフト・ウォルトン型加速器

多摩美術大学の森脇裕之先生監修の特別なライトアップが
行われ実験ホールが幻想的な雰囲気に包まれました。
電子陽電子入射器

フォトンファクトリー実験ホール

フォトンファクトリー光源加速器

測定器開発テストビームライン

ERL開発棟

空洞製造技術開発施設CFF

超伝導リニアック試験施設棟STF

先端加速器試験棟ATF

SuperKEKB加速器

Bファクトリー筑波実験棟

放射線科学センター

機械工学センター

超伝導低温工学センター

計算科学センター

KEKコミュニケーションプラザ

トーク企画
研究者や学生によるトークイベントを4つの会場で行いました。どの回も満席で大変好評でした。
KEKの歩き方~KEKは加速器で何をしているの?

宇宙の始まりの「非常識」 ~唯物論から唯空論へ~

(DE&I企画)フリートーク「博士の夢と生活」

J-PARCサイエンスカフェ

目で見る物理~加速器ってどんなもの?~

日本の陽子線治療のあけぼの(史料室)

筑波技術大学生 髙橋理子さんからのコメント・当日いただいた質問への回答
初めてKEKさんとご一緒して「手話」と「物理(加速器)」がコラボしたかなり珍しいテーマで発表をさせていただきました。 筑波技術大学から高エネルギー加速器研究機構までバスでおよそ15分ほどの距離であるにも関わらず、今まで足を踏み入れた経験がありませんでした。リハーサルの時に初めて訪れた時、想像以上に敷地が広く驚きました。なぜこのような場所を私は知らなかったのだろうかとつくば在住3年目にして反省しました。 私個人としては手話に関する発表経験は何度かありましたが、手話と物理を重ね合わせた内容というものは全く想像したことがなかったため、まずはKEKさんの発表内容である「加速器」について勉強するところからスタートしました。 そこからリハーサルを通して直前まで変更や追加事項などでバタバタしていましたが、事前打ち合わせのおかげで無事に本番を迎えることができました。 当日は多くの方にお越しいただき、聴者に向けての講演がメインだったためどうやったら伝わるかと考えながら話していたので、手話通訳が付いているのにも関わらずアドリブで急に話し出してしまうこともありました。最後は参加者の皆様に「楽しかった」「わかりやすかった」などの感想をいただき、とても喜びを感じると同時に安心感も得られました。 たった一度だけの説明で理解してくれる聴者は少ないと思いますが、KEKさんのコラボをきっかけに加速器に関する興味、手話に関する興味が湧いてくれる人が1人でもいてくれたらと願っています。
質問:手話が学校で禁止されていた時期も、使われていたのですよね?例えばテレビニュースの手話はいつから始まったのでしょうか?
回答:一番最初はNHKになります。1990年4月からスタートしています。
手話を禁止されていた時、公の場で手話を使うことは誰もしませんでした。周りからの目があるからです。家の中だけ、親しい友達だけなどでこっそり手話をやることはよくありました。
質問:世界共通の手話について、「ある」が正解のと事ですが、「言語として認められていない」のであれば、まだ現時点では「ない」が正解になるのではないでしょうか?
回答:国際手話は言語として認められていません。国際手話は世界中のろう・難聴者が国際交流をする際に用いられる手話であり、簡単に言えば、世界中の色んな手話言語を取り入れて作られたものといっていいでしょう。
質問:手話では口元の表情が重要だと説明がありましたが、マスクをしていると手話会話できなくなるのでしょうか?
回答:マスクがあっても会話は可能です。しかし、ろう・難聴者がコミュニケーションを取るときは自然と気づいたらマスク外して会話してる…っていう感じです。表情が見えないので、マスクはない方がありがたいです。
ブース展示・体験コーナー
1日では回りきれないほど多くのブース展示や体験コーナーがありました。
ポケット分光器をつくろう!

きらきらぴかぴかのふしぎ

SuperKEKBブレスレットを作ろう! 加速キッチン

理論センターのコーナー

冷やしミューオン加速器と超冷やし中性子はじめました

ゲームラリー「素粒子をさがそう!」

共通基盤研究施設「謎解き」に挑戦!

理系女子ミニツアー
理系を目指す女子中高生を対象に、KEKの研究現場を見学するミニツアーを行いました。ツアー終了後には女性研究者・エンジニアとの交流会もあり、理系女子の進路について考えました。


来場者からの感想
ご来場いただいた方に、イベントの感想をアンケートで聞いてみました。
・中高生のツアーに参加させていただきました。身近にあまり素粒子の話ができる友達がいないので今回のツアーで友達ができて嬉しかったです!
(神奈川県 10代)
・研究者の皆さんがとても熱意をもって話してくださったので、大変刺激を受けました。
(20代 男性)
・普段見ることができない場所なので、大変興奮しました。次回は教え子たちを連れて来たいです。
(東京都 30代 男性元教員)
・コッククロフト・ウォルトン型加速器のライトアップが印象に残りました。科学と芸術のコラボレーションがもっと進んでこんな企画が増えると嬉しいと思います。
(東京都 40代 女性)
今回の一般公開も盛りだくさんの内容で来場者をお迎えし、大盛況のうちに終了しました。KEKは、2025年度も一般公開の開催を予定しています。
今回参加できなかった方も、来年の4月には「KEK春のキャンパス公開」の開催を予定していますので、ぜひ次の機会にKEKにお越しください!