特別セミナー/加藤政博氏(自然科学研究機構分子科学研究所)
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開始 | 2017/12/19(火)16:30 |
終了 | 2017/12/19(火)17:30 |
会場 | 研究本館3階セミナー室 |
講演タイトル | 自由電子による光渦の放射 |
講演者 | 加藤政博氏(自然科学研究機構分子科学研究所) |
言語 | 日本語/Japanese |
連絡先 | 板倉(kazunori.itakura-AT-kek.jp) |
ウェブサイト | |
食堂・売店 | 利用予定なし/0 |
概要
通常の光は平面あるいは球面状の波面を持つ。これに対し約25年前に、螺旋状の波面を持つ奇妙な光(光渦)が存在し、スピン角運動量とは別に軌道角運動量を運ぶ、とする理論的な研究成果が発表された。その後、レーザー光を特殊な光学素子を通すことで光渦を生成する手法が確立し、情報通信、ナノテクノロジー、イメージングなど幅広い分野への応用を目指して活発に研究が行われている。
一方、自然界における光渦の存在、あるいはその役割は、これまでほとんど議論がなされてこなかった。このような奇妙な光が自然現象として放射されるとは認識されていなかったようである。しかし、最近、円軌道を描く電子からの放射が光渦の性質を持つことが理論的に示され、また、シンクロトロン放射を用いた実験的検証も行われた。円軌道放射は、サイクロトロン/シンクロトロン放射、円偏光コンプトン散乱などの基礎を成し、宇宙物理学・プラズマ物理学から加速器光源技術に至る幅広い分野で重要な役割を果たす。従って、光渦は、天体周辺の磁気圏から高エネルギー加速器まで、自然界や実験室の様々な状況で自然に放射され、その波長は物理的なパラメータに応じて電波からガンマ線に及ぶはずである。
本講演では、光渦とはどのようなものか、また、これまでの光渦に関する研究について短く概観した後、円軌道放射が螺旋状の波面を有し軌道角運動量を運ぶことを初等的な古典電磁気学で示し、その直感的な説明を試みる。また、高エネルギー電子が光渦を放射する実験的な証拠を紹介する。講演の終わりには、自然科学や物理学における光渦研究の様々な可能性について皆さんと議論させていただきたい。
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