技術職員の海外研修報告会を開催

令和2年度技術セミナーとして、CERN派遣研修でスイス、フランスに行かれた加速器研究施設小玉恒太氏と、長期海外派遣でDESY(ドイツ)に行かれた物質構造科学研究所 放射光実験施設 石井晴乃氏による帰国報告会を9月17日(木)にKEKつくばキャンパス 研究本館小林ホ-ルで開催しました。併せてCERN派遣研修(技術職)募集説明会も行われ、ATLAS実験参加機関(14機関)の方の数名のリモート参加を含めて、約80名の参加がありました。
小玉氏は、2019年5月1日から2020年4月30日の1年間スイスのCERNに派遣されSPS(スーパー陽子シンクロトロン加速器)のキッカー電磁石のビーム誘導による発熱問題において、その改善案が及ぼす磁場への評価を行ったこと、スイスでの家族の生活を報告し「約1年間、CERNでの仕事、フランスでの生活共に有意義に過ごすことができました。今後のKEKでの仕事に反映していきたいと思います。」と述べました。

サン=ピエール大聖堂から見たGeneva市街

また、石井氏は、2019年5月5日から2020年5月9日の1年間ドイツのDESYに派遣され、制御GUI開発用ツールACOP.NETのデバッグとそれを用いたGUI開発を行ったことを報告し「DESYでは業務の面でも生活の面でも得難い経験をたくさんすることができました。それらの経験を今後KEKでの業務に生かしていけたらと思っています。今回の派遣を通しお世話になったすべての方に感謝申し上げます。」と述べました。

DESYでの職場の様子

新型コロナウィルス感染拡大の影響で、今年になって帰国を早めたり、帰国の手続きや飛行機の確保が大変だったりと、両氏ともに特別な経験をされ、貴重な話を聞くことができました。

CERN派遣研修制度

我が国の加速器科学分野の高度な技術と国際的な広い識見を備えた技術職員の育成、日本と CERN との協力の一層の強化への寄与のために実施されているのがCERN派遣研修制度です。このプログラムは国内のATLAS実験参加機関(大学など14機関)所属の技術職員にも開放され、これら機関の教育研究機能の向上にも貢献しています。

長期海外派遣研修

機構の若手・中堅職員を一定期間海外の独創的・先進的な研究を行っている大学・研究機関等に派遣し国際的な視野を醸成するのが長期海外派遣研修です。

※参考(過去の派遣された方々のレポート)
https://lib-extopc.kek.jp/preprints/PDF/2013/1326/1326011.pdf
https://lib-extopc.kek.jp/preprints/PDF/2015/1525/1525012.pdf
宍戸壽郎、加速器学会誌、加速器、13巻、3号、2016、p136-p142

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