分子の並びの違いを体感 −「物理で美味しくチョコレイト・サイエンス」を開催しました

2月9日、サイエンスツアーオフィス主催「金夜サイエンスカフェ」の一企画として「物理で美味しくチョコレイト・サイエンス」を開催しました。チョコレイト・サイエンスは、KEK物質構造科学研究所で行っている、物質の構造や機能を探る研究について、身近なチョコレートを使って体感するプログラムです。 当日はキャンセルもなく事前予約した32人全員が参加し、多くの人が参加を待ち望んでいたことが伺えます。

宇佐美講師が実習の手順を説明している様子

宇佐美徳子(うさみ・のりこ)講師がKEKと物質構造科学研究所について紹介し、その後実習に移りました。実習では、溶かして固めただけのチョコレート、温度を上げ下げする「テンパリング」という作業をしたチョコレートの2種類を作りました。参加者は手順の説明を聞いたあと、4人のグループに分かれて実習を行いました。

テンパリングは1℃単位で温度を調節します。この温度調整に多くのグループが苦戦していました。完全に溶かしたチョコレートを25〜26℃に冷やしてから、32〜33℃に温めます。このとき、34℃を超えてしまうとやり直しになってしまいます。チョコレートを絶えずかき混ぜて、温度にむらが出ないように慎重に作業しました。初対面の人とグループを組んだ参加者がほとんどでしたが、難しい作業に協力して取り組んでいました。 

チョコをOPPシートに落としている様子

チョコレートを冷蔵庫で固めている間に、宇佐美講師がチョコレートの構成成分のうち食感を決めているココアバターについて説明しました。参加者はメモを取るなどして熱心に話を聞いていました。 

最後に、食感やおいしさにはチョコレートを構成するココアバターの分子の並び方が関係していることを説明。六つある並び方のうち、「5型」と呼ばれる並び方にすると、パキッと割れて口溶けのよいチョコレートになります。この「5型」を作る作業がテンパリングでした。さらにKEKにある放射光施設フォトンファクトリーでのチョコレートの研究について紹介しました。チョコレートの研究に加速器が使われていることに、驚きの声が上がりました。 

金夜サイエンスカフェとは?

茨城県内の研究機関の紹介や見学コースの提案などを行うつくばサイエンスツアーオフィスが主催。つくば市内に数ある研究教育機関が話題を提供し、誰でも気軽に科学を楽しめる場を提供するイベントです。このサイエンスカフェの特徴は、各研究所がそれぞれ企画を実施するだけでなく、研究所横断でも開催される点です。研究所間のつながりを広く一般に感じてほしいという思いから、つくばサイエンスツアーオフィスが企画し、研究機関に呼びかけ実現しました。

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