KEKつくばキャンパスで筑波大がマラソンの授業を実施

2号館前をスタートする受講生たち

KEKつくばキャンパス構内で10月23日、筑波大学の体育の授業がありました。「つくばマラソン」という授業で、この日は学生たちがハーフマラソンに挑戦しました。SuperKEKB加速器の周回道路などは長距離走に向いているといい、KEKが構内の交通規制などで協力して実現しました。

この授業は、半年間のこの授業・実習で鍛えると誰でもフルマラソンが完走できるようになるという触れ込みで、筑波大学体育系の鍋倉賢治教授(59)が約30年間にわたって開講しています。筑波大の学生・大学院生であれば誰でも受講でき、修了すると1単位が認定されます。

毎年4月に授業が始まり、11月にあるつくばマラソンを完走するのが目標。毎年100人ほどの受講生がおり、通算で3000人が受講しています。鍋倉教授は「KEKに就職した筑波大出身者にも、私の授業を受けた人がいますよ」と話します。

受講生が迷わないように、走路には白線で指示が描かれました

しかし新型コロナ禍のため、つくばマラソンは2020年、21年はリアル開催が中止になりました。

フルマラソンを実際に走るという目標がなくなったことで、鍋倉教授らは代替のコースを探しました。

もちろん、体育専門学群を持つ筑波大学にも長距離用の走路はあります。「しかし途中に信号があるほか、歩車分離のため段差もあります」と鍋倉教授。つくば市内では産業技術総合研究所構内も候補になったそうですが、結局、「信号もなくとても走りやすい」というKEKが選ばれ、昨年初めて、筑波大学の授業をKEKで行うという異例のフルマラソン大会がつくばキャンパス構内で実施されました。

3号館前には給水所が設けられました

今年、つくばマラソンの日程が繰り上がり、これまで直前調整の場として活用されていた茨城県坂東市の「坂東市将門ハーフマラソン大会」と同日になってしまいました。そこでつくばマラソンを3週間後に控えたハーフマラソンの授業が行われることになりました。

走路には栗も

この日は好天に恵まれ、スタート前には鍋倉教授が「フルマラソンで1kmを6分で走る人は5分50秒ぐらいで走ってみてほしい。最後の3週間で記録が上がるかもしれません」と受講生を指導。午前9時から10分おきに計90人がスタートしました。日曜日ということで構内の交通量も多くはありません。

周回道路から望む筑波山


受講生は1周3.55kmのコースを6周します。2号館前をスタートして超伝導低温工学センターの前を通り、周回道路を反時計回りに走って先端加速器試験棟付近で曲がってスタート地点に戻ります。「研究参加」として、走っている途中の心拍数やストライドをモニターする機器をつけている大学院生たちもいます。筑波山もきれいに見えました。

11時すぎからランナーは次々とゴール。授業は無事終わりました。

ゴールする梶井一頼さん

社会工学学位プログラム修士課程1年の梶井一頼さんは「これまで水泳をやっていたんですが、新しいことに挑戦したくて」と受講。「めっちゃ気持ちよかった。本番の距離は倍ですが、気合で走ります」と話していました。

ゴールする受講生を出迎える鍋倉賢治教授

11月13日開催のつくばマラソンは、KEK前の東大通りも通ります。受講生たちは、KEKでの最終調整の成果を見せてくれることでしょう。

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