KEK一般公開(オンライン配信と現地見学ツアー)を開催しました

オンライン配信は「加速器ってなに?」で開幕しました

9月3日(土)、4日(日)、「KEK一般公開2022」が開かれました。今年は「加速器だから見える世界。」というKEKの公式キャッチコピーを掘り下げる「加速器だから見える世界ってどんな世界?」をテーマに、3日はオンライン配信、4日は現地見学ツアーを開催しました。

 

3日は、午前10時から午後3時すぎまでKEKつくばキャンパスの小林ホールから生中継しました。最初のプログラムは、加速器の設計・運転をしている加速器研究施設の技術者のトークでした。続いて加速器を使って科学者がどんなものを見ようとしているかを、素粒子原子核研究所の三原智教授と物質構造科学研究所の千田俊哉教授が語り合いました。加速器を使うという共通点はあるものの専門分野が全く異なる2人が、互いに疑問点をぶつけ合う「発見」の多いセッションになりました。

「加速器だから見える世界」で語り合う三原智教授(中央)と千田俊哉教授(右)。司会はサイエンスライターの川口敦子さんでした

かつての人気テレビ番組「トリビアの泉」のような形でKEKに関する雑学を学ぶ「KEKゆるいクイズ」のコーナーや、産業技術総合研究所OBの地質学者 酒井彰さんを招き、KEKの巨大な加速器を文字通り支えているつくばの大地の成り立ちや地質を掘り下げるコーナーもありました。

 

今回の目玉企画の一つは「KEKかっこいいもの選手権」です。職員から事前に「KEKのかっこいいと思うものや場所」の写真を募ってツイッターとフェイスブックに掲載し、「いいね」などを多く集めた上位6点が3日の本選に進出しました。オンライン配信中に視聴者による投票と途中経過の報告が行われ、最終的に「アクリル中の放電痕-リヒテンベルク像」が1位となりました。

「KEKかっこいいもの選手権」1位になったリヒテンベルク像を紹介するツイート

 

最後のプログラムは、加速器科学の今後を見据えた「加速器でこれから見たい世界」。放射光の研究者やニュートリノ実験の専門家たちが、進化している加速器を使ってこれからやりたい科学の夢を語りました。またKEKが国連の「持続可能な発展のための国際基礎科学年」に創設パートナーとして参加していることにちなみ、「私にとっての基礎科学」「基礎科学は役に立つのか」などを議論しました。

 

5時間の生放送の昼の部はここまで。YouTubeでは2400回、ニコニコ生放送で約6900人が視聴しました。アーカイブをここで公開していますので、ぜひご覧ください。

 

夜7時半からは「中夜祭」として全国から誰でも参加できるクイズ大会「小林誠杯オンライン2022」を開催しました。KEKがクラウドファンディング事業者READYFORと提携して行ったクラウドファンディングでいただいた支援で、基礎科学について広く知ってもらうオンラインイベントです。詳しくはこちらから。

 

翌4日は、KEKつくばキャンパスに6つの見学コースを設けて現地見学ツアーを開催しました。

 

一般公開はコロナ禍のため一昨年、昨年と続いてオンライン開催でしたが、今年は感染状況を見つつ、3年ぶりにつくばキャンパスに来場者を迎えることにしました。ただ従来のように来場者が自由にキャンパスを歩いて見学する形はとらず、完全事前予約制の約90分間のツアーのみの開催としました。

 

現地見学ツアーはバスで回る3コースと徒歩で回る3コースでした

ツアーは、バスで回る定員20人の「未来の加速器・リニアコライダー」「夢の光の工場」「世界最先端の巨大実験」と、徒歩で回る定員10人の「先端科学を支える放射線管理と計算機・ネットワーク技術」「超伝導技術と加速器VR体験」「新技術・超伝導加速器」の6つ。それぞれ午前9時から午後4時にかけて6~7回を、職員が引率しました。

 

「超伝導技術と加速器VR体験」ツアーでは、「超伝導コースター」体験がありました

8月22日にオンラインで予約受付を始めたところ、約20分で電子チケット560枚が完売する人気ぶりでした。当日は、感染症対策の検温や誓約書提出などでツアーのスタートが遅れることも心配されましたが、実際には非常にスムーズに進みました。来場者はSuperKEKB加速器のトンネルを歩きながら研究者の説明を聴いたり、放射線管理棟で目に見えない放射線の不思議を感じたり、VRを使って加速器の中を歩き回る体験をしたりしていました。

「夢の光の工場」ツアーでは、バスでフォトンファクトリーを訪問しました

「世界最先端の巨大実験」ツアーでは、SuperKEKB加速器のトンネルを歩きながら研究者の説明を聴きました

横浜市から来場した小学校3年の沼上隼佑(しゅんすけ)君は両親と一緒に車で来場しました。次世代の粒子加速器として検討されている「国際リニアコライダー(ILC)」関連の技術開発が行われている先端加速器試験棟(ATF)などを見学し、「リニアコライダーのことがよくわかりました。また来年も来たいです」と話していました。

横浜市の沼上隼佑君(中央)は父・邦雄さん、母・智恵さんと一緒に来場しました

 

過去の現地開催の一般公開では4000人程度の来場者がありましたが、小規模なツアー形式とした今回は、のべ約500人(ツアーへの重複参加のため実質約200人)の来場にとどまりました。ただし予約に対する参加率は90%と非常に高く、研究現場を実際に見ることを楽しみにしていた人が多かったことが伺われます。熱心な質問も多かったことから、来場者は密度の高い時間を過ごされたようです。

 

来年は従来通りの形での開催を目指し、準備を進めていきます。

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