スペインとハイパーカミオカンデ実験についての覚書を締結 東京大学と高エネルギー加速器研究機構

覚書に署名する東京大学の藤井総長(左)、スペイン科学イノベーション省のRaquel Yotti研究事務局長(中央)、KEKの山内機構長(右)

2027年の実験開始を目指し、岐阜県飛騨市神岡町で建設が進むハイパーカミオカンデ実験について、ホスト機関の東京大学と高エネルギー加速器研究機構(KEK)はこのほど、スペイン科学イノベーション省との覚書を締結しました。同実験には、日本を含めて世界20カ国が参加・協力を表明していますが、日本との覚書が締結されるのは、ポーランドに続いて2カ国目となります。

覚書の締結は各機関の持ち回りで行われ、東京大学の藤井輝夫総長、KEKの山内正則機構長、スペイン科学イノベーション省のRaquel Yotti研究事務局長がそれぞれ、2022年8月下旬までに署名しました。

同実験に参加するのは、スペインのサラゴサ大学、ドノスティア国際物理センター、高エネルギー物理学研究所(IFAE)、カンフランク地下研究所、マドリード自治大学、ジローナ大学、オビエド大学、バレンシア工科大学、サンティアゴ・デ・コンポステーラ大学の9研究機関です。覚書には、スペイン側が光電子増倍管カバー、換気システム、地磁気補償コイルシステム、電子回路、検出器較正用線源、前置検出器などの実験装置を担当して実験に参加することなどが明記されています。

ハイパーカミオカンデは、現行のスーパーカミオカンデの約8倍の有効質量を持つ巨大水タンクとそのタンクの中に並べる超高感度光センサーからなる実験装置で、陽子崩壊の発見やニュートリノのCP対称性の破れ(ニュートリノ・反ニュートリノの性質の違い)の発見、超新星爆発ニュートリノの観測などを通し、素粒子の統一理論や宇宙の進化史の解明を目指します。同事業は2020年2月、日本で最初の予算が成立して正式にスタートし、2021年5月にアクセストンネルの掘削が始まるなど建設が本格化しています。

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