ポーランドとハイパーカミオカンデ実験についての覚書を締結 東京大学と高エネルギー加速器研究機構

覚書に署名する東京大学の藤井総長(左)、KEKの山内機構長(中央)、NCBJのKurek所長(右)

2027年の実験開始を目指し、岐阜県飛騨市神岡町で建設が進むハイパーカミオカンデ実験について、ホスト機関の東京大学と高エネルギー加速器研究機構(KEK)はこのほど、ポーランド国立原子核研究センター(NCBJ)との覚書を締結しました。同実験には、日本を含めて世界20カ国が参加・協力を表明していますが、日本との覚書が締結されるのは、ポーランドが初めてとなります。

覚書の締結は、COVID-19オミクロン株による感染防止の観点から各機関の持ち回りで行われ、東京大学の藤井輝夫総長、KEKの山内正則機構長、NCBJのKrzysztof Kurek所長がそれぞれ、2022年2月中旬までに署名しました。

同実験に参加するのは、ポーランドのHenryk Niewodniczański 原子核研究所、シレシア大学、NCBJ、ワルシャワ工科大学、ワルシャワ大学、ヴロツワフ大学、AGH 科学技術大学、ジャジロニア大学、Nicolaus Copernicus 天文学センターの9機関です。覚書には、ポーランド側が線形電子加速器システム、光検出器(マルチPMT モジュール)、電子回路などの実験装置を提供して実験に参加することなどが明記されています。

ハイパーカミオカンデは、現行のスーパーカミオカンデの約8倍の有効質量を持つ巨大水タンクとそのタンクの中に並べる超高感度光センサーからなる実験装置で、陽子崩壊の発見やニュートリノのCP対称性の破れ(ニュートリノ・反ニュートリノの性質の違い)の発見、超新星爆発ニュートリノの観測などを通し、素粒子の統一理論や宇宙の進化史の解明を目指します。同事業は2020年2月、日本で最初の予算が成立して正式にスタートし、2021年5月にアクセストンネルの掘削が始まるなど建設が本格化しています。

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