軟X線領域回折限界光源NanoTerasuの現状 〜加速器(特に線型加速器)の設計理念・到達性能、運転状況〜

開催日時

2025/12/17(水)15:00〜16:00

開催場所

3号館7F会議室(725)+ Zoom

講演者

国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構(QST), 
量子ビーム科学部門 次世代放射光施設整備開発センター(NanoTerasuセンター) 
高輝度放射光研究開発部 安積 隆夫氏

言語

日本語

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お問い合わせ

惠郷 博文(PHS 4405)、満田 史織 (PHS 4830)


NanoTerasuは、2024年4月から特定先端大型研究施設として放射光利用運転を開始している。本施設の計画当初に掲げられた目標は、① 軟X線領域における従来施設と比較して100倍の輝度(MBAラティスによる低エミッタンス化)を実現、② 安定光源でかつ高運転稼働率の実現、③ 建設・施設運用の小コスト化の3つである。これらを念頭に置いて構築された加速器は、2023年のビームコミッショニングが開始されて以来、大きな機器トラブルなく、安定した加速器運転を継続している。
2024 年度の加速器の総運転時間は5450時間であり、そのうち利用運転が3500時間、ビーム調整・マシンスタディが1950時間であった。利用運転では、99.6%の稼働率を実現し、323時間のMTBF、1.2時間のMTTRを達成した。また、来年度から開始予定であった400mAの蓄積ビーム電流での運転を4ヶ月前倒しし、今年11月下旬からは、加速器の設計パラメータを全て満たした状態で放射光を提供している。
利用運転においては2週間を1サイクルとし、1年間で16サイクルとしている。利用運転の間、3GeV線型加速器から蓄積リングへTop-up入射(20秒ごとの入射)がおこなわれ、常時、蓄積ビーム電流は一定に維持されている。この間、3GeV線型加速器では一切のビーム調整、機器調整はおこなうことなく、安定した入射が継続できている。
本発表では、NanoTerasu加速器システム(とくに3GeV線型加速器)の概要、ならびに到達ビーム性能を示すとともに、加速器運転状況について報告する。また、NanoTerasuの将来計画(SX-FEL計画)についても紹介する。