放射光の発生特性を最大限に利用した 高速サンプリング時間分解軟X線計測手法を開発 -次世代超高速スイッチング・通信デバイス開発研究の 飛躍的加速に期待-

大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構
国立大学法人東北大学大学院理学研究科
国立大学法人東北大学多元物質科学研究所

概 要

物質の電気・磁気的な特性を超高速で制御する技術は、次世代超高速スイッチング・通信デバイスへの応用展開への可能性を秘めているため、世界中で精力的に研究が進められています。
高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所の深谷亮特任助教、足立純一講師、中尾裕則准教授、野澤俊介准教授、東北大学大学院理学研究科の石井祐太助教、東北大学多元物質科学研究所の木村宏之教授、KEKの足立伸一理事らを中心とした共同研究グループは、放射光X線のメガ(メガ=100万)ヘルツ(MHz)オーダーの高繰返し発生特性と先端レーザー装置を組み合わせることで、従来よりも10倍以上高いサンプリング周波数で計測可能な、時間分解共鳴軟X線散乱実験装置を開発しました。さらに、レーザー光照射後およそ100ピコ(ピコ=1兆分の1)秒後に生じるマルチフェロイック材料の磁気特性の変化を、高精度に観測することに成功しました。この装置開発により、これまで信号が微弱で計測が困難であった物質においても時間分解共鳴軟X線散乱実験が実施可能となり、物質の電気・磁気特性の超高速制御技術を利用した次世代超高速スイッチング・通信デバイスの開発研究が飛躍的に加速されることが期待されます。

この研究成果は、国際科学雑誌「Journal of Synchrotron Radiation」に2022年10月6日にオンライン掲載されました。

本研究成果のポイント

○放射光X線パルスの高繰返し発生特性を活かして、従来よりも10倍以上高いサンプリング周波数で計測可能な時間分解軟X線計測技術を実現。
○光照射後100億分の1秒後に生じるマルチフェロイック材料の磁気特性変化を高精度に観測することに成功。
○これにより超高速に変化する物質の電気・磁気的な特性を高精度に計測することが可能となり、次世代超高速スイッチング・通信デバイスの研究開発が飛躍的に加速。

問合せ先

高エネルギー加速器研究機構(KEK)広報室
Tel: 029-879-6047
e-mail: press@kek.jp

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