昆虫のさやばね内部に十字型の影をもつ球晶構造を発見



 

国立大学法人筑波大学

大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構

概要

タマムシやオサムシ、コガネムシなど昆虫の外骨格は美しい構造色(微細構造によって光の干渉や散乱が生じて発色する現象)を示します。これは、主としてさやばねが、らせん構造をもつコレステリック液晶のような規則的な構造を持つことに由来します。このような材料は、柔らかさと固さを併せ持っており、さらに表面は、虹色に輝いたり、金色もしくはエメラルドグリーンの金属反射が見られたりすることから、生体模倣材料などへの応用も期待されています。

本研究では、外骨格を有する昆虫であるカナブン類のさやばねについて、透過型および反射型の顕微鏡観察を同時に行い、構造を調べました。その結果、さやばね内部に、表面の構造色の反射だけでなく、マルテーゼクロスと呼ばれる十字型の影をもつ球状の構造(球晶)を発見しました。昆虫においてマルテーゼクロスが観察された報告は、本研究が初めてとなります。この構造は、オサムシの場合、整然と列をなして並んでいますが、タマムシでは、不規則に存在しています。また、コメツキムシでは楕円上のマルテーゼクロスの配列がみられました。これは、甲虫の種類に応じて、同様の液晶性構造からマルテーゼクロスを形成したためだと考えられます。つまり、この現象は、タマムシやオサムシ、コメツキムシが同じ種類の生物から進化したことと関わっている可能性があります。

 

本成果は2021年9月10日に、『Micron』に掲載されました。


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