宇宙線のミュオンと中性子が引き起こす半導体ソフトエラーの違いを解明 環境放射線に対する効果的な評価・対策技術の構築に向けて

図1
図1 ソフトエラー発生確率 (左) と複数ビットエラー発生割合 (右) の電源電圧依存性

株式会社ソシオネクスト
大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構
国立大学法人京都大学
国立大学法人大阪大学
J-PARCセンター

概要

株式会社ソシオネクストは、高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所、京都大学複合原子力科学研究所、大阪大学大学院情報科学研究科と協力し、大強度陽子加速器施設 (J-PARC) 物質・生命科学実験施設 (MLF) ミュオン科学実験施設 (MUSE) の負および正ミュオンビーム、京都大学 研究用原子炉(KUR)の熱中性子ビーム、大阪大学 核物理研究センター (RCNP) の高エネルギー中性子ビームをそれぞれ半導体デバイスに照射することにより、ミュオンと中性子が引き起こすソフトエラーの特徴が異なることを実験的に初めて明らかにしました。今回、複数の量子ビームを用いることにより、環境放射線に含まれる宇宙線由来のミュオン・中性子の影響を包括的に測定することを実現しました。本成果は、環境放射線によるソフトエラーに対する効果的な評価・対策技術の構築に発展すると考えられます。これにより、将来のスマートシティやMobility as a Service (MaaS) の社会基盤を支える、安心・安全で信頼できる半導体デバイスの創出につながることが期待されます。

本研究成果は、2021年5月21日に「IEEE Transactions on Nuclear Science」のオンライン版に掲載されました。

また、本研究の一部は、「国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム(OPERA)」の助成を受けて実施されました。

本研究成果のポイント

◆複数の量子ビームを活用し、宇宙線による半導体デバイスのソフトエラーの包括的な評価を実現
◆宇宙線のミュオンと中性子が引き起こすソフトエラーが、異なる特徴を持つことを実験的に解明
◆社会基盤を支える信頼性の高い半導体デバイスの開発に向け、評価・対策技術構築への展開を期待

詳しくは  プレスリリース  をご参照ください。