抗血栓性高分子のバリア機能の原因を解明

中性子散乱による中間水の状態の解析に成功

総合科学研究機構
高エネルギー加速器研究機構
J-PARCセンター
九州大学

総合科学研究機構(CROSS)と高エネルギー加速器研究機構(KEK)、近畿大学、東京理科大学、九州大学の共同研究グループは、大強度陽子加速器施設(J-PARC)物質・生命科学実験施設(MLF)の中性子散乱実験装置を用いて、実際に ECMOの回路内壁コーティングに使用されているポリ(2-メトキシエチルアクリレート)(PMEA)に水和する水の運動状態を調べ、高分子との相互作用により通常の水よりも10倍から100倍遅い水(中間水)が存在することを初めて明らかにしました。また、原子間力顕微鏡(AFM)実験の結果と比較することにより、PMEAのナノメートル(10-9 メートル)サイズのミクロ相分離構造に対応して、遅い水の運動が空間的に制限されていることが分かりました。この結果により、PMEAにおいて抗血栓性が発現するメカニズムが明らかになりました。 この発見は、既製品を超える性能を持つ新たな抗血栓性材料を創製するための設計指針を与えるもので、今後の超高齢社会を支える医療技術の躍進のためにも極めて重要な研究成果であり、幅広い展開が期待されます。

本研究成果は、日本時間2026年6月25日にアメリカ化学会の学術誌The Journal of Physical Chemistry Bに掲載されました。

中間水の運動の様子の模式図。狭い範囲に制限された「速い局所拡散」と、やや広い範囲の「遅い局所拡散」、そして制限空間の間を移り変わる「重心拡散」の3種類があり、それらが高分子と水のミクロ相分離構造と関係していることが分かった。

本研究における中性子実験は、J-PARC MLFのビームラインBL02 DNA(課題番号:2020BU0201、 2020B0440)にて実施されました。

詳細は CROSS のホームページ をご覧ください。

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