血糖生成酵素MGAMの分子構造と阻害機構を解明

血糖値上昇を抑制する新規薬剤・食品開発への貢献に期待

北海道大学
高エネルギー加速器研究機構
筑波大学

ポイント

  • 小腸に存在するはずの血糖生成酵素MGAMが、ブタの血清に大量に含まれることを発見。
  • 高純度のMGAMが利用可能となったことで、その立体構造や阻害剤の作用の詳細な解析に成功。
  • 血糖値上昇を抑制する新規化合物の探索や設計などの応用研究の発展に期待。

概要

北海道大学大学院農学研究院の田上貴祥准教授、奥山正幸教授らと、高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所構造生物学研究センターの川崎政人准教授、安達成彦特任准教授(研究当時。現 筑波大学生存ダイナミクス研究センター准教授)、千田俊哉教授らの研究グループは共同で、血糖を生成する酵素であるマルターゼ-グルコアミラーゼ(MGAM)が拮抗阻害剤AC5によって阻害される仕組みを分子レベルで明らかにしました。

MGAMは哺乳類の小腸に存在する澱粉消化酵素の一つです。MGAMの阻害は、食後血糖値の急激な上昇(血糖値スパイク)を抑制し、2型糖尿病の予防や治療に有効です。しかし、MGAMを小腸から大量に取得することは難しく、MGAMと阻害剤との相互作用の詳細は明らかにされてきませんでした。本研究ではMGAMがブタの血清中に大量に存在することを発見し、高純度のMGAMを高収量で取得する方法を確立しました。さらにAC5により阻害されたMGAMの立体構造をKEKのクライオ電子顕微鏡を用いて解明、阻害の速度論的解析を行い、AC5によるMGAMの阻害で観察される混合阻害に似た挙動が、二重の拮抗阻害に起因することを明らかにしました。本研究の成果は、食後の血糖値スパイクを抑制する医薬品や食品の研究開発の加速につながることが期待されます。 なお、本研究成果は、2026年1月14日(水)公開のJournal of Enzyme Inhibition and Medicinal Chemistry誌にオンライン掲載されました。

クライオ電子顕微鏡–単粒子解析によって明らかにしたブタ血清MGAMと拮抗阻害剤AC5との複合体構造。AC5(青と赤)はMGAMのNtMGAMユニット(黄色)とCtMGAMユニット(ピンク)それぞれの活性部位に結合する「二重の拮抗阻害剤」として働くため、阻害型式は一見すると混合阻害として観測されることが明らかとなった。

詳しくは プレスリリース をご参照ください。

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