2026年 機構長年頭挨拶

1月7日、浅井機構長よりKEKの職員に向けた年頭挨拶が行われました。要約は以下のとおりです。

明けましておめでとうございます。本年が皆様にとって良い一年となるよう、心よりお祈り申し上げます。

まず、2025年を振り返ります。

量子場計測システム国際拠点(QUP)では、理化学研究所から東俊行新拠点長を迎え、新棟への移転を進めています。KEKはQUPを中心に「国際量子フロンティア拠点」の形成を目指しており、革新的な量子技術と、KEKの持つCMOS・低温・加速空洞などの基盤技術の相互活用が進みつつあります。加えて、国際及び国内のネットワークとして、シカゴ大学、東京大学や横浜国立大学、理化学研究所などの国内外との連携や企業との協働強化も着実に進展しています。

ハイパーカミオカンデ計画では、中間検出器(IWCD)施設が着工されました。IWCDは岐阜県飛騨市神岡町で建設中のハイパーカミオカンデ検出器と同じ原理で動作する「水チェレンコフ検出器」で、ニュートリノのCP対称性の破れを探す実験でとても大切な役割を果たします。2028年の実験開始を目指しています。

放射光実験施設フォトンファクトリー(PF)では、硬X線と軟X線を組み合わせたマルチビーム研究開発が始まりました。将来的にはX線だけでなく、ミュオンや低速陽電子、中性子などを組み合わせた複合的な「マルチプローブ」研究の拡張を見据えています。どういうサイエンスができるのかの研究も始めています。

半導体分野では、最先端の半導体を製造するのに必要な極端紫外線(EUV)光源を加速器ベースの自由電子レーザーで生成する加速器研究施設の提案が、経済安全保障重要技術育成プログラム(K Program)に採択されました。高出力・高効率で将来のさらなる短波長化にも対応可能な技術です。

ここで大事なのは、加速器という分野が国家の重要な施策に貢献していることをしっかりと伝えていくことです。

KEKの課題としては、資金や施設・設備の老朽化、人材不足などのリスクが深刻化しています。2027年度までの第4期中期目標では、人材確保、財源確保とDXによる効率化そして成果の最大化を重点方針としています。

また、今まで「大学共同利用」という形でどちらかというと受け身だったのを改め、「自らサイエンスをドライブしていく」姿勢への転換も目指します。更に、将来に向けては新しい分野を創生していく努力が大切です。

最後に、2026年の重要事項として、

SuperKEKBの性能改善や国際連携の強化、量子ビームを組み合わせた総合的な研究戦略の構築があります。さらに大学院教育や企業との連携を強化し、大学院生への支援や人材育成の拡充に取り組みます。

AI活用による研究・業務の高度化である「AI for Science」、外部資金の拡大も重要です。最重要テーマとして、AI for Science、半導体、核融合、量子技術、宇宙の5分野を掲げ、各研究の基盤づくりを進めます。

国際情勢が不安定で財源も厳しい状況ですが、これから、新しい機会と捉えて変革を進めたいと考えています。人材確保と成果と将来をどうやって守っていくのか。

そのためには大きな変革というのが必要になります。

何事も「これがチャンスだ」と思って、一緒に汗を流していただければと思います。

令和8年1月7日
高エネルギー加速器研究機構長
浅井祥仁