KEKと筑波大、技術職員の技術交流で相互見学会を実施

KEKつくばキャンパス空洞製造技術開発施設(CFF)の見学

高エネルギー加速器研究機構(KEK)と筑波大学は、技術職員の相互見学会を昨年度に引き続き実施しました。この見学会は、少人数で互いの職場を訪問することで相識の間柄となり、今後の技術交流につなげていくことを目的に実施しています。今年度のKEK見学では筑波大学以外に関東甲信越技術職員懇談会のメンバーにも案内を配信したところ、埼玉大学、宇都宮大学からの参加もありました。また筑波大学の見学には、技術職員だけでなくKEKの教員も多数参加しました。

相互見学会は8月25日から11月7日にかけて行いました。

KEK見学は8カ所で実施され、つくばキャンパスのSuperKEKB加速器や東海キャンパスの大型陽子加速器施設など昨年度より2コース増えて全16コースとなりました。延べ参加人数は、筑波大学から19名、埼玉大学から4名、宇都宮大学から2名でした。

筑波大学見学は10カ所で実施され、マテリアル先端リサーチインフラ(ARIM)や中地区排水処理施設の他、新たに医学共通FACS室など3コース増えて14コースとなりました。KEKの技術職員18名、教員9名が参加しました。それぞれ見学を担当する技術職員から装置とその技術、仕事内容の紹介があり、その後情報や意見の交換をして交流を深めました。

見学後のアンケートでは、「普段見られない装置と技術、そしてその裏側まで見ることができた」、「技術職員の苦労話がとても参考になった」、「相互見学会を今後も続けてほしい」という回答が特に多く見られました。筑波大の医療加速器は、「同じ加速器でもKEKの加速器とは違い、全く遊びのない目的に特化したものであった」、「完成度が高かった」との感想もありました。KEKの大型の加速器科学を見て、「ひとつ装置と言っても、その規模の大きさが想像を絶するもので圧巻でした」、「本物を見ること、その解説を実際の担当の技術職員から聞けたことは参考になった」などの回答もありました。

発展性のあるコメントとしては、「筑波大のIT系の研修の相互乗り入れできると良い」、「KEKのSTARS研修を続けてほしい」、「筑波大のFACS(蛍光活性化セルソート)の装置のセミナーを開催すれば多くのKEKの職員が興味を持つだろう」、「簡単でよいので、定期的な仕事紹介をするなどして、技術情報のやり取りをスタートしてほしい」、「筑波大に限らず、近場の施設(つくば市内の研究所、近県の大学)との交流も進めてほしい」などがありました。魅力ある技術の相互乗り入れを期待する声だと思っています。

異なる機関の技術職員同士が、専門分野の学会などを除いて技術交流する機会は今までほとんどありませんでした。今回、実際に現場へ行き、実験装置を見ながら技術開発や仕事の進め方などを議論したことは、相手の特徴を知り、自他ともに効率的な仕事のやり方、問題解決の方法などを考える良い機会になったと思います。さらに今後、今回の見学後のアンケート回答を踏まえて、専門の近い分野で小規模な会合、研修、仕事紹介などの交流を進めていく計画です。

筑波大学マテリアル先端リサーチインフラ(ARIM)の見学
KEKつくばキャンパス筑波実験棟の見学
筑波大学放射線・アイソトープ地球システム研究センター(CRIES)応用加速器部門の見学

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