有識者会議の結論を受けたILCの進め方について

令和4年2月25日

KEK ILC推進準備室

 

KEKはこれまで高エネルギー物理学研究者会議のもとに作られた「ILCジャパン」や国際将来加速器委員会(ICFA)のもとに作られた国際推進チーム(IDT)などと協力して国際リニアコライダー(ILC)の誘致実現を目指した活動を進めてきました。IDTは昨年6月にILC準備研究所の設立を提案する文書を公表し、ここではILCの準備段階における組織や実施計画などが提案されています。また、同時に日本側ではこれまで3年間の活動の進捗を取りまとめた報告書を文部科学省に提出しました。文部科学省ではこれらを受けて第2期ILCに関する有識者会議を開催し、検討を続けてきましたが、2月14日に以下の5点を骨子とする議論のまとめが公表されました。

 

(1) ヒッグスファクトリーなどの素粒子研究の学術的な意義や分野の重要性を認め、国際的共同研究の重要性も理解するものの、誘致に関する日本政府の関心表明を前提として、国際コミュニティが提案している準備研究所を設立するのは時期尚早である。

 

(2) 関係国の財政的制約もあることから、ILCや将来円形衝突型加速器(FCC)の技術的進展を踏まえてヒッグスファクトリーに関する国際的な研究戦略を再構築すべく検討・整理を進めること。

 

(3) 次世代加速器開発に向けて重要となる技術課題等について、ホスト国の問題は一旦切り離して、関係国の研究機関との分担の下で、段階的に研究開発を展開していくべき。

 

(4) このような巨額のプロジェクトを実現させるためには、関係国の政府関係者が、それぞれの事情を共有しながら議論できる環境が醸成されることが重要である。

 

(5) 国内外のステークホルダーの支持の拡大に向けて、関係者間の信頼関係を保ちながら、研究者コミュニティが地道な 努力を積み上げていくこと。

 

これを受けて、KEKはCERNにおけるFCCに関するフィージビリティ・スタディーの進捗も視野に入れつつ、国内外の研究者コミュニティとともに、ICFAでの意見交換等を通してヒッグスファクトリー実現に向けての世界的な研究戦略再構築に関する検討を進めます。またこれと並行して、KEKはIDTと協力のもと、各国の研究機関と連携して、ILC準備研究所に代って当面必要な加速器の開発研究を行う枠組みを設け、開発項目を再整理した上で、共同研究を行うことをICFAに提案します。この共同研究を通してILCを含めた次世代加速器の進展のために重要な技術開発およびILC実現に向けた機運の醸成を図ります。

 

また、これに加えてILCジャパン、およびKEKのもとに大学の研究者などの協力も求めて一元的に対外的コミュニケーションを図る組織を構築します。ここにおいて一般社会や学術界、産業界などに広くILCの意義を伝える活動を強化し、基礎科学の世界的な研究所を設けることの意義や、人材育成や科学技術の発展に資する計画であることの理解促進を図ります。

 

KEKは、今後も将来のILC実現につながるように、関係者間の信頼関係を保ちながら、これらの活動を進めていきます。

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