KEKギャラリー企画展「私を光の工場(フォトンファクトリー)へ連れてって」開催中

KEKギャラリー企画展のようす

KEKのサイエンスの歴史に触れてみませんか

KEKつくばキャンパスの正門近くの建物「国際交流センター」のガラス張りの廊下は「KEKギャラリー」という名前がついています。このたび、このKEKギャラリーにて企画展を始めました。この場所は常設展示「KEKコミュニケーションプラザ」のエントランスにあたります。

企画展の初回のテーマは「私を光の工場(フォトンファクトリー)へ連れてって」です。フォトンファクトリー(PF)は、加速器が生み出す光(放射光)を使って実験をするための施設で、加速器が動くと同時に数十の独立な実験を行うことができます。PFは光を出し始めてから40年を迎えました。日本の大規模放射光専用施設の先駆けであり、毎年数千人の研究者や学生が利用しています。

現在、PF利用者には生命科学分野の研究者が多く、その多くはタンパク質のX線結晶構造解析という手法を使っています。タンパク質のX線結晶構造解析手法は、加速器や計測・データ蓄積技術の進展に伴って進化を続け、今ではロボットによりほぼ自動で精密な実験が行われるようになっています。

その礎となったのがPFのタンパク質結晶専用実験ステーション(旧BL-6A)です。かつてPFに世界中から研究者が訪れ、タンパク質の構造解析のための実験手法を編み出してきたという歴史を知る人は少なくなりました。そこで、今回の企画展では、PFでタンパク質のX線結晶構造解析が始まったころ(1980年代後半)に使われていた装置にスポットライトを当てました。

左:リチャードボックスを覗くとこのように見える 右:リチャードボックスの製作を依頼した坂部知平(さかべのりよし)名誉教授

展示の目玉は、世界に数台しかなくKEKで今回初めて展示される「リチャードボックス」です。リチャードボックスとは、放射光で得られた電子密度データをコンピューター解析した多層の図から、人の手でタンパク質の立体模型を組み上げるための道具で、研究者がタンパク質の立体構造を把握するために役立ちました。アメリカの生化学者リチャード博士が発明したので、この名前がついています。

展示では、旧BL-6Aで実際に使われていたカメラや、リチャードボックスを使ってつくられたタンパク質の立体模型、現行のタンパク質X線結晶構造解析装置(BL-17A)の10分の1模型も展示しています。

また、展示スペースの右側の壁面は、現在のフォトンファクトリーの実験ホールやコントロールルームのようすを描いたイラストでラッピングしています。放射光の通り道(ビームライン)や実験ハッチ(実験装置が入っている小部屋)の色などを再現していますので、こちらもどうぞご覧ください。

ところ:高エネルギー加速器研究機構 つくばキャンパス 国際交流センター KEKギャラリー

と き:9:30~16:30(KEKの常設展示施設コミュニケーションプラザと同じです)

    2022年12月14日~2023年4月23日(科学技術週間最終日)
    年末年始(2022年12月29日〜2023年1月3日)はお休みです。
 
    予約不要・入場無料

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