KEK連携コロキウム(岡 隆史 氏)

開催日時

2020/09/24 16:00 -17:00

開催場所

オンライン(Zoom, 要参加登録)

講演者

岡 隆史 氏

言語

日本語

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概要

ディラック・ワイル半金属など多彩な量子物質の発見により、物性物理と高エネルギー
物理の間の分野間交流は理論のみならず実験も含め近年盛んになっている。分野によっ
て視点が異なるため、俯瞰的にみることで思いもよらない発見がありえる。本講演では
強力な電場で駆動されたディラック・ワイル系を舞台として、講演者が関わった非平衡
物理の研究について紹介する。特に現象のエッセンスとなる「からくり」について、
できるだけ分かりやすく紹介したい。従来の物質の光応答の理解は摂動論的である。
そこではエネルギー保存則や光学選択則が現象理解の基礎となっている。ところが、電
場が強くなると摂動展開や保存則は破綻し、時間変動する系特有の動的現象がおきはじ
める。そのような例として、①粒子・反粒子対のシュインガー機構による対生成、
②フェルミ球の運動や変形に伴う非摂動的トポロジカル電流の発生、③周期駆動外場に
よるフロッケ・トポロジカル状態の実現などがあげられる。1つの物理系で、これらの
複数の現象を、複数の手法(自由場の理論、古典ボルツマン方程式、ホログラフィーな
ど)で研究していくと、共通点や差異などがみえるとともに、新しい”非平衡物理の学
理”がおぼろげに浮かび上がってくる。